通訳や翻訳の業務は、その外国人の母国語を使う仕事内容でないと技・人・国ビザの許可が出ないというが、実際はどうなのか

まず「技・人・国」ビザの基準を確認してみます。

入管法第7条第1項第2号の基準に定める省令

一 申請人が次のいずれにも該当していること。

  申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を習得していること。(中略)

イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。

ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦(日本)の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。

ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有していること。

ニ 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、宝飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。

ロ 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。

つぎに、入管庁の審査要領を見てみると

二号のロについては、外国人が従事しようとする業務に関連する業務について、原則として3年以上の実務経験を有することを要件と定めている。実務経験は、「関連する業務について」のものであれば足り、外国人が本邦において従事しようとする業務そのものについての実務要件を有することまでは必要とされていない。

ただし書きの規定は、翻訳通訳又は語学の指導に係る業務は、外国人の母国語に係るものが通常であり、実務経験のない外国人でも行うことが可能であることから、大学を卒業していれば、実務経験は要しないことを定めている。留意事項としては、行おうとする活動が第二号イに列挙されている「通訳、翻訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事する」場合であっても、大学等において、これらの業務に従事するのに必要な科目を専攻し、卒業した者又は本邦(日本)の専門学校を修了し、専門士の称号を得た者である場合には、第一号(人文知識カテゴリー)が適用される。

たしかに「技術・人文知識・国際業務」ビザの国際業務は、本人の母国語もしくは公用語に関わる業務であることが原則です。しかし審査要領を見ると、大学や日本の専門学校で、その語学を専攻して学んだ場合には、それが母国語や公用語でなくても業務が認められることがあります。

外国人が通訳や翻訳の業務を日本で行うためには、どの言語を翻訳するのか、その言語が母国語もしくは公用語に該当するのか、大学を卒業しているのか、業務と関連性のある科目を専攻して大学や日本の専門学校を卒業しているのかによって「国際業務」にあたるのか、「人文知識」にあたるのかが変わってきます。

通訳・翻訳の業務に就く際で「技・人・国」ビザの在留資格許可を受けるためにはTOEICのような語学能力試験の点数は要件とはなりませんが、実際に使用する語学の通訳・翻訳業務を行う際には積極材料となることには違いありません。申請前にしっかりと確認することが非常に大切となります。

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