外国人の雇用に関する法律は非常に厳格であり、不法就労は重大な法的リスクを伴います。ここでは、不法就労とは何か、そしてどのような点に注意すべきかについて詳しく解説します。
不法就労の定義とケーススタディ
不法就労とは、法的に認められた在留資格や許可の範囲を超えて働く行為を指します。具体的には以下の3つのケースがあります。
- 不法滞在者や被退去強制者が働くケース
- 例: 密入国した者や在留期限が切れた者、既に退去が決まった者が働く場合です。これらの者は、法的には日本に滞在すること自体が違法であるため、就労も許可されません。
- 入管庁から働く許可を得ずに働くケース
- 例: 観光ビザや短期滞在目的で入国した者が働く場合や、留学生や難民認定申請中の者が許可なく働く場合です。これらのビザは就労を目的としていないため、働くことは不法です。
- 入管庁から認められた範囲を超えて働くケース
- 例: 留学生が許可された時間数を超えて働く場合です。許可された就労範囲を超えると、不法就労となります。
外国人雇用の際に気を付けるポイント
外国人を雇用する際には、以下の点に特に注意が必要です。
- 在留カードの確認
- 外国人の在留カードを確認することで、その外国人が合法的に就労できるかどうかを判別できます。在留カードには、在留資格や就労条件が記載されているため、これを基に就労可否を判断しましょう。
- 注意: 特別永住者を除き、在留カードを持たない者は原則として就労できません。ただし、「外交」や「公用」等の在留資格を持っている場合は、例外として就労できることがあります。
- 資格外活動許可の確認
- 「留学」、「研修」、「家族滞在」、「文化活動」、「短期滞在」などの在留資格については、資格外活動許可を受けていない限り、就労することはできません。これらのビザで働く場合には、必ず資格外活動許可を取得しているか確認しましょう。
- 雇用状況の届出
- 外国人を雇用した場合、または離職した場合には、ハローワークへの届出が義務付けられています。届出を怠ると、罰則の対象となることがあります。
事業主の責任と処罰
不法就労を助長する事業主も法的な責任を負います。以下は、事業主に対する処罰の例です。
- 不法就労助長罪
- 不法就労をさせたり、あっせんした事業主は、不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。
- 退去強制の対象
- 不法就労をさせた外国人の雇用主は、退去強制の対象となることがあります。
- 虚偽届出の罰則
- 外国人の雇用または離職の届出を行いながら虚偽の届出をした場合、30万円以下の罰金が科されることがあります。
不法就労に関する犯罪とその防止策
- 在留資格等不正取得罪
- 偽りや不正な手段で在留資格を取得する行為は、在留資格等不正取得罪として処罰されます。虚偽の申し立てや、虚偽の文書提出などが該当します。
- 営利目的在留資格等不正取得助長罪
- 金銭等の営利目的で在留資格を不正に取得しようとする外国人を助けた者も処罰対象となります。このような犯罪には協力しないようにしましょう。
不法就労を防ぐための対策
不法就労を防ぐためには、事業主と外国人の双方が以下の対策を講じることが重要です。
- 在留資格の確認: 雇用する外国人の在留資格とその条件を正確に確認する。
- 資格外活動許可の確認: 必要な資格外活動許可を取得しているか確認する。
- 届出の適切な実施: 外国人の雇用や離職について、正確な届出を行う。
- 法令遵守の徹底: 外国人雇用に関する法令を理解し、遵守すること。
不法就労に関連する法律や手続きは複雑ですが、適切な確認と手続きを行うことでリスクを回避できます。もし疑問や不安がある場合は、専門の行政書士に相談することをお勧めします。