建設業許可における欠格要件についての誤解とその解説

建設業許可を取得するためには、法令で定められた様々な要件をクリアする必要があります。その中でも「欠格要件」は特に重要であり、この要件を満たさない場合には、建設業許可を受けることができません。しかし、欠格要件の中には、一般の方にとって分かりにくい点がいくつか存在します。今回は、建設業許可に関してよく誤解されやすい2つの点について解説します。

1. 「破産者で復権を得ない者」とは何か?

まず、建設業許可の欠格要件の一つに「破産者で復権を得ない者」があります。これは、破産手続きが進行中であり、まだ復権が認められていない場合に該当します。ここでいう「復権」とは、破産手続きが完了し、免責が認められた状態を指します。つまり、破産者であっても免責が確定していれば、復権が得られたとみなされ、建設業許可を受けることが可能です。

例えば、以前に経営していた会社が倒産し、個人として破産した場合、その方が再起を図り建設業許可を申請する際に、過去の破産が許可取得に影響するのではないかと不安に感じることがあります。しかし、一般的には、個人破産については裁判所による「免責決定」が行われるため、この免責決定が復権を意味し、欠格要件に該当しないことになります。

重要なのは、破産手続きが進行中で免責が確定していない場合や、何らかの理由で免責が認められていない場合には、復権が得られていないとみなされ、建設業許可を受けることができないという点です。したがって、建設業許可を申請する前に、過去に破産経験がある場合には、免責決定の有無を確認しておくことが重要です。

2. 「刑事罰を受けた場合」の取り扱い

次に、建設業許可の欠格要件に関連するもう一つの誤解は、「刑事罰を受けた場合」に関するものです。特に、執行猶予が付いた刑事罰を受けた場合、その後の建設業許可申請がどうなるのか、という質問を受けることがあります。

まず、刑事罰を受けた場合でも、その罰が執行猶予付きである場合には、執行猶予期間が満了することで欠格要件から外れることになります。つまり、執行猶予期間が終了すれば、その時点で建設業許可の欠格要件には該当しなくなり、許可を受けることが可能となります。

ここで特に注意すべき点は、「執行猶予期間が満了してから5年間は許可を受けられない」という誤解です。実際には、執行猶予が満了した時点で欠格要件から外れるため、5年待つ必要はありません。執行猶予が満了した後、すぐにでも建設業許可を申請することができるのです。

この誤解は、刑事罰を受けた場合に通常の処罰と区別せずに考えてしまうことから生じることが多いです。通常の刑事罰においては、刑期が終了してから一定期間が経過しないと欠格要件が解除されない場合がありますが、執行猶予の場合は異なり、期間満了と同時に欠格要件が消滅します。

まとめ

建設業許可を取得する際の欠格要件には、誤解されやすい点がいくつかあります。しかし、正確な知識を持っていれば、不必要に恐れる必要はありません。特に、「破産者で復権を得ない者」に関しては、免責決定が下されていれば問題なく許可を受けられることが多いです。また、「刑事罰を受けた場合」に関しては、執行猶予期間が満了すればすぐに欠格要件から外れるため、許可申請に進むことが可能です。

これらのポイントを理解し、建設業許可の申請に臨むことで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。欠格要件に関して不明な点がある場合には、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。行政書士は、個々の状況に応じた適切なアドバイスを提供し、建設業許可取得のサポートを行うことができます。

建設業を営む上で必要な許可を取得することは、事業の成功に直結する重要なステップです。欠格要件に該当しないかどうかを正確に確認し、万全の体制で申請を行いましょう。

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