就労資格証明書とは何か、その取得方法とメリット・デメリットについて

日本で外国人が働くためには、就労可能な在留資格を取得することが必要です。しかし、在留資格を取得した後に転職する場合、新しい職場でその在留資格の範囲内で就労できるかどうかを確認するための手続きが必要です。その際に役立つのが「就労資格証明書」です。本記事では、就労資格証明書がどんな時に必要なのか、その取得方法、そしてメリットやデメリットについて詳しく解説します。

就労資格証明書とは?

就労資格証明書とは、外国人が転職する際に、新しい職場での就労が現在の在留資格で認められていることを確認するための証明書です。これは、出入国在留管理局(以下、入管)が発行するもので、新しい職場で就労できるかどうかを正式に証明するための書類です。

具体的には、就労資格証明書には以下のような情報が記載されます:

  • 外国人が現在持っている在留資格の内容
  • 現在の在留資格で新しい職場での就労が認められているかどうか

就労資格証明書の中段には、転職先での就労可否を示す文言が記載されており、これにより外国人が転職先で合法的に働けるかどうかを確認できます。

どんな時に就労資格証明書が必要なのか?

就労資格証明書は、必ずしも全ての転職時に必要なものではありませんが、以下のような場合には取得を検討することをお勧めします。

  1. 転職先の業務内容が現行の在留資格に該当するか不安な場合
    外国人が新しい職場で行う業務が、現在の在留資格で許可されている活動に該当するかどうかが不明な場合、就労資格証明書を取得しておくことで安心して就労することができます。
  2. 在留資格の更新時に審査をスムーズに進めたい場合
    転職後、次回の在留資格更新時に審査が大幅に省略されるため、審査が簡易化されるというメリットがあります。これにより、更新手続きがスムーズに進み、不許可となるリスクを大幅に減らすことができます。
  3. 転職してから次回の在留資格更新までに時間的な余裕がある場合
    転職後、次回の在留資格更新まで6か月以上の時間的余裕がある場合には、就労資格証明書を取得しておくことをお勧めします。これにより、在留資格更新時に不必要なリスクを回避することができます。

就労資格証明書を取得するメリット

就労資格証明書を取得することには、以下のようなメリットがあります。

  • 転職先での就労に対するお墨付きが得られる
    入管から正式に転職先での就労が認められていることを証明できるため、安心して働くことができます。
  • 次回の在留資格更新が簡易化される
    転職先での就労が既に確認されているため、次回の在留資格更新時に審査が簡易化され、手続きがスムーズに進みます。
  • 企業側も安心して雇用できる
    企業にとっては、雇用している外国人が適切な在留資格で働いていることを確認できるため、不法就労のリスクを避けることができます。

就労資格証明書のデメリット

一方で、就労資格証明書を取得することには以下のようなデメリットもあります。

  • 申請に時間と手間がかかる
    新規の在留資格取得と同様の審査が必要となり、多くの書類を準備する必要があります。申請に必要な書類は多岐にわたり、自分で申請するのは難易度が高いといえます。
  • 交付までに時間がかかる
    審査に時間がかかるため、交付までの期間が長くなることがあります。特に、次回の在留資格更新が近い場合には、就労資格証明書を取得するメリットが少なくなる可能性があります。
  • 費用がかかる
    就労資格証明書の申請には手数料が発生します。また、書類の準備や専門家のサポートが必要な場合には、追加の費用がかかることも考慮する必要があります。

就労資格証明書の取得方法

就労資格証明書を取得するためには、以下の書類を準備して入管に申請します。

  • 就労資格証明書交付申請書
  • 在留カードまたは特別永住者証明書
  • パスポートまたは在留資格証明書
  • 前職の退職証明書および源泉徴収票
  • 転職先の履歴事項全部証明書
  • 転職先の決算書の写し
  • 転職先との雇用契約書の写し
  • 雇用理由書(企業側が記入する書類)

これらの書類を揃えた上で、入管に申請を行います。特に、雇用理由書は重要な書類であり、採用企業が外国人を雇用した理由や経緯を詳しく記載する必要があります。この書類がしっかりと整っていることで、申請がスムーズに進みやすくなります。

就労資格証明書取得の注意点

最後に、就労資格証明書を取得する際の注意点をいくつか挙げておきます。

  1. 前職と異なる職種での転職には要注意
    転職先の職種が前職と大きく異なる場合、在留資格の変更が必要となることがあります。この場合、就労資格証明書ではなく、在留資格変更許可申請を行う必要があります。
  2. 不法就労に注意
    在留資格で許可されていない職種で働いている場合、不法就労状態となり、雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。就労資格証明書を取得することで、このリスクを回避できます。

まとめ

就労資格証明書は、外国人が安心して転職し、新しい職場で働くために非常に重要な書類です。取得には時間と手間がかかりますが、次回の在留資格更新時に審査が簡易化されるという大きなメリットがあります。転職を検討している外国人やその雇用主は、ぜひ就労資格証明書の取得を検討してみてください。必要な書類の準備や申請手続きについて不安がある場合は、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。

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