建設業許可における専任技術者の変更とは?変更時の注意点と準備のポイント

建設業を営むにあたっては、事業を適切に運営していくために、建設業法で定められた許可要件を常に満たしている必要があります。その中でも非常に重要な要件のひとつが「専任技術者の配置」です。

この記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市に事務所を構える建設業者の皆さまに向けて、「専任技術者の変更が必要な場面」と「変更手続きの注意点」について詳しく解説いたします。

目次

専任技術者とは何か?

「専任技術者」とは、建設業許可を受ける上で、営業所に常勤し、技術的な業務に責任を持つ役職者のことを指します。具体的には、建設業法第7条第2号(一般建設業)および第15条第2号(特定建設業)で定められた要件で、以下のような役割を担います。

  • 許可業種に応じた技術力・実務経験の証明
  • 工事の管理・指導的立場での対応
  • 監督官庁への技術的な説明責任

つまり、専任技術者がいない状態は、建設業許可の「根幹」が失われることを意味し、継続的な事業活動に重大な影響を及ぼします。

専任技術者の「常勤性」とは?

専任技術者は、原則として「営業所に常勤している職員」でなければなりません。ここでいう「常勤」とは、単なる週5日勤務という意味ではなく、「他の会社に勤務していないこと」「実質的に営業所に勤務し、技術業務を担当していること」を意味します。

たとえば、以下のようなケースは「常勤」とは認められません。

  • 他社の役員や従業員として在籍している
  • 複数の営業所にまたがって勤務している
  • 派遣社員で、当該建設業者に雇用されていない

つまり、専任技術者は「自社の常勤職員」である必要があり、勤務実態については、住民票や雇用契約書、給与台帳などの証拠書類で裏付けられる必要があります。

専任技術者の変更が必要となる主なケース

専任技術者は、一度配置すればそれで終わりではありません。以下のような事情が生じた場合には、速やかに変更の対応を行う必要があります。

退職による変更

最も多いのが、専任技術者が退職するケースです。退職によって技術者が不在となると、営業所の許可要件を満たさないことになります。許可業者としての資格を維持するためには、専任技術者が不在となる期間を作らず、スムーズに後任を選任することが重要です。

異動・転勤による変更

人事異動で本社や他部署へ異動する、あるいは別の営業所へ転勤する場合にも、技術者の変更が必要になります。たとえば、東京都江東区の営業所に専任していた技術者が、沖縄県那覇市の新設営業所へ移る場合などが該当します。

資格要件の喪失

専任技術者が誤って資格要件を満たさないことが発覚した場合(例:実務経験年数に誤りがあった、資格証明が無効だった等)、再選任が必要です。

専任技術者変更の基本的な流れ

専任技術者の変更は、事前の届出ではなく「事後届出」です。つまり、変更があった後に手続きを行います。ただし、要件を欠く期間を生じさせないよう、実際の変更日までに十分な準備を行っておくことが不可欠です。

【手続きのポイント】

  1. 変更が決まったらすぐに後任候補を検討
    • 自社内で要件を満たす人材がいるかを確認
    • 資格証、実務経験証明書類の準備を開始
  2. 後任技術者の選任と就任
    • 就任日は退任日と同一または翌日になるよう調整
  3. 変更後2週間以内に変更届を提出
    • 「変更届出書(専任技術者)」
    • 必要添付書類:資格証の写し、実務経験証明書、常勤性を証する書類(住民票、雇用契約書、給与台帳等)
  4. 変更届提出後も書類保管は必須
    • 監督官庁の調査や更新時に確認される場合があります

後任専任技術者の要件確認は慎重に

後任となる専任技術者には、次のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 指定資格の保有(例:1級建築士、施工管理技士等)
  • 10年以上の実務経験(業種に応じた内容)
  • 学歴+実務経験の組合せ(大学+3年、専門学校+5年 など)

注意すべきは、「実務経験がある」と主張する場合でも、それを証明するための書類(工事経歴書・発注書・請書・写真等)がなければ認められないという点です。

また、在籍確認のための雇用契約書や住民票の写しなども求められます。これらの資料を揃えるのには時間がかかるため、専任技術者の変更が見込まれる場合は、早めに準備を始めることが鉄則です。

よくあるトラブルと対応策

ケース1:退職後に変更届を出そうとしたら間に合わなかった

→ 解決策:退職予定日が判明した時点で、後任の調整を開始し、変更届の提出を最優先で行う

ケース2:後任の技術者が資格を持っていない

→ 解決策:実務経験による申請を検討し、証明書類を精査する。時間がかかるため、早めの準備が必要

ケース3:営業所が無人になってしまった

→ 解決策:一時的に他営業所からの応援配置も検討。ただし専任要件(常勤・専従)を満たさない場合は不可

東京都・沖縄県での申請対応も可能です

専任技術者の変更は、単なる届け出ではなく、建設業許可の根幹に関わる重要な手続きです。万が一変更が遅れてしまうと、許可の取消しや営業停止処分のリスクも生じかねません。

東京都江東区、沖縄県那覇市などで建設業を営まれている方で、

  • 「専任技術者が退職予定で不安」
  • 「後任候補がいるが、要件を満たすか分からない」
  • 「書類の作成に自信がない」

という場合は、当事務所までぜひご相談ください。現状の確認から、後任候補の要件チェック、書類作成、変更届の提出まで、トータルでサポートいたします。

まとめ

  • 専任技術者は営業所に常勤する必要があり、許可維持のためには途切れのない選任が不可欠
  • 変更は「事後届出」で、変更後2週間以内に届け出る必要がある
  • 後任者が資格や経験要件を満たすかどうかの確認と、書類準備には時間を要するため、事前の準備が重要
  • トラブル回避のため、早めの専門家相談がおすすめ

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