相続対策として利用されている資産管理会社のメリットとデメリットについて

目次

資産管理会社とは

資産管理会社とは、オーナーさん自身の資産の管理を目的として設立される会社のことです。事業活動は行われず、多くの不動産を保有する富裕層向けの相続対策として活用されています。

資産管理会社を活用した相続対策は、個人で不動産を所有する場合と比べて税制上のメリットがあります。その一方で、会社を維持するデメリットもあります。

資産管理会社を保有するメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

資産管理会社を活用した相続対策のメリット

資産管理会社を活用した相続対策には、主に5つのメリットが挙げられます。税制上の有利性と共に、相続手続き時の簡略化がいえます。

➀ 相続税の財産評価で有利となる

資産管理会社は、不動産は管理会社が保有し、オーナーさんは管理会社の役員として株式を保有する形態が一般的です。オーナーさんが亡くなった時、相続されるのは不動産ではなく資産管理会社の保有株式となります。不動産については相続税の計算上、実態の価格より低い価格で評価されますが、資産管理会社株式はより低い価格で評価することが可能です。

資産管理会社株式の評価額は、相続税評価額で計算した会社の純資産額から資産の含み益にかかる法人税(37%)相当分が差し引かれて求められます。(取得後3年以内の不動産は除く)

② 所得の分散ができる

これは以前の記事でも述べた内容と同じです。

相続対策で法人化をするメリットについて – 行政書士 見山事務所 (miyamashinji.jp)

資産管理会社が不動産を所有するので賃料収入は会社のものとなります。オーナーさんの所得となるはずだったものが管理会社へ分散できるので、オーナーさんの所得を低くすることが可能です。さらに家族が会社役員となれば、会社の収入を役員報酬の形で家族に分配することができるわけです。

③ 広い範囲で経費が認められる

これも以前の記事で述べた内容と同じです。

相続対策で法人化をするメリットについて – 行政書士 見山事務所 (miyamashinji.jp)

例えば資産管理会社では、不動産管理に係る経費以外でもオーナーさんの自宅を社宅としたり、自家用車を社用車として間接経費として計上することも可能です。そして個人所得の最高累進課税では所得が所得税・住民税を合わせた実効税率が50%超となってしまいますが、資産管理会社ではどんなに高くても33%前後で抑えられます。

④ 財産の蓄積を抑えることができる

賃料による所得が多ければオーナーさんの財産が蓄積され、将来の相続税が高額となることが懸念されます。

②で述べたように所得を資産管理会社や家族で分散することで、オーナーさんの財産の蓄積を抑えることが可能です。また家族に少しずつ株式を生前贈与していけば、ここでも財産の蓄積を抑えることができます。

⑤ 相続や贈与がスムーズにできる

個人所有の不動産では、不動産相続時に登記が必要となり登記費用が生じます。また生前贈与では登記費用に併せて不動産取得税も発生します。

資産管理会社は、はじめにオーナーさんから会社への不動産移行費用は生じますが、それ以後は相続や贈与においては会社株式を相続・贈与されるだけなので、登記の手間や費用がかからなくなります。

資産管理会社を活用した相続対策のデメリット

デメリットとしては2つ挙げられます。

➀ 会社運営のコストが生じる

会社設立をすれば当然、法人として厳格な管理が求められます。自身や家族だけで管理するのは難しくなり、専門家へお願いする費用が生じます。

② 仕組みが複雑であり専門家の関与が必要

資産管理会社の設立による相続対策は、各々の事情や状況により様々な形態が考えられます。(これは次回に述べます)相続や税制、不動産管理の仕組みの構築等を考えれば自らだけで運営するのは難しいので、当然専門家のアドバイスが欠かせないと言えます。

提携する税理士もおりますので、相続のお悩みで資産管理会社の設立を検討されておられるお客様におかれましては、是非幣事務所までお気軽にご相談ください。

目次