身寄りのない人が亡くなる、相続人がひとりもいないと相続財産はどうなるのか

日本は高齢化社会と呼ばれるようになり、これは相続分野でも影響を及ぼしています。

子どもがいない高齢者夫婦の場合、親・兄弟姉妹はすでにいないことが多く、配偶者に先立たれると法定相続人がいないというケースが起こってきます(姪・甥が兄弟姉妹の代襲相続人となることはあります)。

このように法定相続人がいない場合には、民法の規定により被相続人の財産は国庫に帰属することになります。

例外として、被相続人と生計を同じくしていた者(内縁関係など)、被相続人の療養看護に勤めた者、その他特別の縁故があった者等の場合には、その者(特別縁故者)が相続が開始した地の家庭裁判所に請求すれば、相続財産の全部または一部を与えることができるとされています。家庭裁判所は、審判によりその処分を決定します。

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相続財産は相続財産法人のようなイメージで処分される

相続人が不明の場合には相続財産が宙に浮いてしまうので、民法の規定により被相続人の債権者・特別縁故者等の利害関係者・検察官の請求により、相続財産管理人を選任し、公告するとなっています。

つまり相続財産は管理人を通じて法人化されるイメージで、処分されることになります。相続財産管理人は、相続財産の管理を行なうとともに、本当に相続人がいないかの捜索を行なうことになっています。その結果、相続人が現れれば相続財産は相続人のものになり、相続財産管理人の業務は終了します。

特別縁故者として請求ができる場合とは

特別縁故者が相続財産について家庭裁判所に請求できるのは、相続人捜索の公告が行われ、相続権を主張する者が現れなかった場合で、公告期間満了後3カ月以内とされています。

特別縁故者は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所に対して、相続財産の処分を申し立てることになります。

家庭裁判所では、被相続人と特別縁故者との縁故関係の内容や濃淡、特別縁故者の性別・職業・年齢・教育程度・遺産の種類・額・内容・所在などを、一切の事情を考慮した上で、誰に(特別縁故者が複数いる場合)、なにを、どれくらい与えるかを決定します。

審判の結果、一部を特別縁故者に分与となった場合には、残余の相続財産は国庫に帰属することになります。

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