貸金庫を借りている場合、遺言ではどのように取り扱っておくのがよいのか

土地や建物の登記簿や実印等の保管のために銀行で貸金庫を借りている方は多いかと思います。そこで貸金と遺言について考えてみます。

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貸金庫契約の法的性質

貸金庫契約の法的性質は、判例上「当該貸金庫の場所の賃貸借である」とされています(最判平成11・11・29民集53巻1926頁参照)。そのため、貸金庫契約の契約者が死亡しても、その性質上、当然には貸金庫契約は終了しません。貸金庫の賃借権は、被相続人の権利義務のひとつとして、相続人に承継されるからです。

遺言における貸金庫の取り扱い方

よって、貸金庫の使用権を特定の者に相続または遺贈するには、その旨を遺言で記載しておく必要があります。その場合には、契約書を基に、銀行名・支店名・番号等を明記し特定できるようにしておきましょう。

また遺言執行の際に円滑な貸金庫の開扉を行なうため、遺言執行者に「貸金庫の開扉」を明記しておくことも有益です。

ここで注意しておくことは、自筆証書遺言です。遺言を貸金庫に保管していた場合には、遺言者の死亡後に貸金庫の開扉や内容物の持ち出しが困難となり、遺言の実行が確実でなくなるケースが想定できるからです。自筆証書遺言を貸金庫で保管するのはやめましょう。

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