建設業許可の要件である専任技術者について、一般建設業と特定建設業での専任技術者の違いとは

建設業を営むためには、営業所ごとに「専任技術者」を配置することが義務付けられています。専任技術者は、工事の技術的な裏付けとして、一定以上の経験や資格を持つスタッフであり、各営業所に「常勤」し、他の会社や営業所との兼務が認められない役職です。今回は、専任技術者の資格要件や違い、必要な実務経験について詳しく解説します。

専任技術者の配置が必要な理由

建設業界では、安全かつ高品質な工事を行うため、技術面で信頼できるスタッフを配置することが重要です。そのため、専任技術者が建設現場での適切な指導・管理を行うことで、工事の品質や安全性が確保されます。このため、専任技術者が営業所に常駐することが義務付けられており、各営業所において工事に必要な技術サポートを提供することが期待されています。

一般建設業と特定建設業の専任技術者の違い

専任技術者の要件は、許可を取得する「一般建設業」と「特定建設業」によって異なります。それぞれの違いを確認し、自社に適した許可を取得するためのポイントを見ていきましょう。

一般建設業の場合の専任技術者要件

一般建設業では、以下のいずれかの要件を満たすことが求められます。

  1. 国家資格等の取得
    建設業法に基づく「技術職員資格区分表」に記載されている資格があれば、専任技術者の要件を満たします。しかし、民間資格や企業の職長教育など、表に記載のない資格は許可取得には使用できませんので、注意が必要です。
  2. 10年以上の実務経験
    資格を保有していない場合でも、該当する工種に関して10年以上の実務経験があれば、専任技術者として認められます。例えば、大工工事に10年以上従事している職人であれば、専任技術者となる資格があります。
  3. 指定学科卒業と5年以上の実務経験
    高校や1年制専門学校などで、建設業法で指定された学科を卒業し、かつ5年以上の実務経験がある場合も専任技術者になれます。この場合、卒業証明書や履修科目証明書が必要です。
  4. 指定学科卒業と3年以上の実務経験
    大学(短期大学や高専含む)や2年制専門学校を指定学科で卒業し、3年以上の実務経験があれば要件を満たします。こちらも事前に必要書類を準備しておきましょう。
  5. 旧実業学校卒業程度検定合格と実務経験
    旧実業学校卒業程度検定に合格し、5年以上(旧専門学校の場合は3年以上)の実務経験がある場合も認められます。指定学科卒業と同等の学力を証明することで、必要な経験年数が短縮されます。

特定建設業の場合の専任技術者要件

特定建設業での専任技術者の要件は、一般建設業よりも厳しく、次のいずれかを満たす必要があります。

  1. 国家資格の取得
    建設業法の資格区分表に記載された国家資格を保有していることが要件です。一般建設業と同様に、表に記載のない民間資格や企業の職長教育は使用できません。
  2. 一般建設業での実務経験と元請としての指導監督的経験
    一般建設業の専任技術者として実務経験を持ち、さらに4500万円以上の元請工事での指導監督的実務経験が2年以上あることが求められます。過去の工事契約金額に応じて基準が異なり、昭和59年以前の工事は1500万円以上、昭和59年から平成6年12月までの工事は3000万円以上が基準です。

実務経験が10年に満たない場合の専任技術者取得方法

実務経験が10年に満たない場合でも、指定学科を卒業していることで必要年数が短縮されることがあります。そのため、自社に国家資格保有者がいない場合は、まず従業員の中で指定学科を卒業している方がいないかを確認することをおすすめします。これにより、専任技術者を早期に確保できる可能性が高まります。

指定学科とは?

指定学科は建設業法に基づき、工種ごとに必要な知識を提供する学科が定められています。学科名は学校によって異なる場合があるため、まず卒業した学校に「卒業証明書」や「履修科目証明書」を依頼し、確認することが重要です。

専任技術者の確保が重要な理由

専任技術者は、建設業の営業所にとって、工事の安全性や信頼性を担保する重要な役割を果たします。そのため、他の会社や営業所との兼務が認められず、常勤であることが必須です。この要件を満たさない場合、営業許可を維持することが困難になるため、専任技術者の配置には慎重な対応が求められます。

許可取得をスムーズに進めるためのポイント

  1. 要件確認と早期準備
    専任技術者の配置要件は多岐にわたるため、事前に必要な資格や実務経験を確認し、準備を進めることが大切です。
  2. 書類の整備
    卒業証明書や履修科目証明書など、学歴や経験を証明する書類は、申請前に揃えておきましょう。
  3. 役所への事前確認
    指定学科の該当確認や、必要な書類については事前に申請窓口へ確認しておくと、スムーズな手続きが可能です。
  4. 経験年数の短縮可能性を検討
    実務経験が10年に満たない場合でも、学歴や検定試験の合格で必要年数が短縮されるケースがあります。職人やスタッフの学歴を確認し、短縮の可能性を検討しましょう。

まとめ

専任技術者は建設業許可を得るために必要不可欠な存在です。特に那覇市や江東区で建設業を営む方々にとっては、地域の特色や建設需要に合わせた適切な技術者の配置が不可欠です。本記事を参考に、専任技術者の要件や資格、実務経験について理解を深め、許可取得に向けた準備を進めてください。

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