
建設業許可の取得において、適切な経営体制を整えていることを証明することは重要な要件の一つです。特に、常勤役員の中に取締役や理事、執行役員、経営業務の管理責任者に次ぐ地位にあった人物が含まれているか、そしてその期間に建設業を営んでいたことを確認するための資料が必要です。本記事では、この確認資料について詳しく解説します。
経営体制の確認資料とは
建設業許可を申請する際、以下の内容を確認する資料が必要になります。
- 常勤役員の役職経験
過去に取締役、理事、執行役員、または経営業務を補助する役職についていたことを証明する資料。 - 役職在任期間中の建設業の営業実績
その役職に就いている間、建設業を営んでいたことを示す資料。
これらの資料を用いて、申請者の企業が適切な経営体制を有していることを証明します。
1. 常勤役員の役職経験を確認する資料
過去に取締役や理事、執行役員などの役職に就いていたことを証明するために、以下の資料を準備します。
(1)取締役の経験を証明する場合
取締役としての経験は、履歴事項全部証明書を取得することで確認できます。この証明書は、法人の設立や役員の変更などの経歴が記載された公的な記録です。
- 履歴事項全部証明書のポイント
- 記載期間:通常、直近3年間の履歴が記載されています。
- それ以前の情報が必要な場合は、閉鎖事項証明書を取得します。
- 閉鎖事項証明書とは?
閉鎖事項証明書は、法人が解散したり、役員の変更が行われた際の履歴を記録した証明書です。これを法務局で取得すれば、必要な期間の役職経験をすべて確認することが可能です。
(2)理事・執行役員の経験を証明する場合
理事や執行役員としての経験も、法人の履歴事項全部証明書で確認できる場合があります。ただし、執行役員の記録が履歴事項全部証明書に記載されていない場合は、以下の補足資料が必要です。
- 執行役員としての雇用契約書
執行役員としての在任期間を示す雇用契約書が有効です。 - 役員会議事録
執行役員として任命された際の議事録が証拠として認められる場合があります。
(3)経営業務を補助する役職の経験を証明する場合
経営業務を補助する役職(例:部長、課長)の場合、役職名や期間を明確にするための以下の資料が必要です。
- 雇用契約書や辞令
役職名と任命日が記載された書類を準備します。 - 給与明細書や源泉徴収票
実際にその役職に基づく給与が支払われていたことを示す資料です。
2. 建設業を営んでいた期間を確認する資料
役職在任期間中に建設業を営んでいたことを証明するため、以下の資料を併せて提出します。
(1)工事契約書や請求書
過去に行った工事に関する契約書や請求書を用意します。これにより、実際に建設業を営んでいたことを証明します。
- 有効な契約書の条件
- 役職在任期間中に作成されたものであること。
- 契約内容に工事名や発注者、請負金額が明記されていること。
(2)工事台帳
工事台帳は、建設業務の進捗状況や受注実績を記録した書類です。在任期間中の実績を確認するための重要な資料となります。
(3)会社の決算書
決算書には、建設業としての売上高が記載されているため、建設業を営んでいたことを補強する資料として活用できます。
3. 確認資料の収集方法と注意点
(1)法務局での書類取得
履歴事項全部証明書や閉鎖事項証明書は、法務局で申請し取得します。申請時には以下の情報が必要です。
- 法人の商号または名称
- 本店所在地
(2)会社内部での資料確認
雇用契約書や辞令、工事台帳などは会社内部で保管されている場合が多いため、事前に資料の所在を確認しておきましょう。
(3)役職経験と建設業実績の整合性
役職経験と建設業の実績期間が一致しているかを事前に確認することが重要です。不一致があると、申請が受理されない可能性があります。
まとめ
建設業許可における適切な経営体制を証明する確認資料は、申請が成功するかどうかを左右する重要なポイントです。履歴事項全部証明書や工事契約書などの基本的な資料を揃えるだけでなく、役職経験や建設業実績が申請書に記載した内容と一致していることを確認する必要があります。
東京都江東区や沖縄県那覇市での申請を検討されている方は、地域特有の要件にも注意しながら準備を進め、必要に応じて行政書士に相談すると、よりスムーズに許可取得を目指せます。