
外国人の配偶者が日本で在留資格を取得している場合、一時的な帰国や海外出張で日本を離れることに問題はありません。しかし、長期間の出国には在留資格に影響を与える可能性があるため、適切な手続きを理解し、必要な対応をすることが重要です。特に、三か月以上または一年以上の海外滞在には注意が必要です。
この記事では、外国人配偶者が日本を離れる際の注意点や、永住許可や帰化申請への影響、再入国許可の必要性について詳しく解説します。
一時的な海外滞在は問題なし
一週間や一か月程度の短期間であれば、特別な手続きをしなくても日本を出国することに問題はありません。一般的な一時帰国や短期出張であれば、通常通り帰国し、再入国が可能です。
ただし、在留期限の更新時期が近い場合は注意が必要です。在留期限内に日本へ戻り、更新手続きを行うことができるかを事前に確認しておきましょう。
三か月以上日本を離れる場合の注意点
三か月以上の海外滞在は、在留資格に直接影響することはありませんが、永住許可申請や帰化申請を考えている場合には影響を及ぼします。
在留資格のリセットに注意
在留資格の期間内であれば、三か月以上日本を離れても資格自体が失効することはありません。しかし、永住許可申請や帰化申請をする際には、日本での継続的な滞在が求められます。
永住許可申請や帰化申請への影響
永住許可申請や帰化申請には、一定年数以上、日本に継続して滞在していることが要件となっています。
永住許可申請の場合
- 原則として、日本に十年以上継続して在留していることが必要
- そのうち五年以上は就労可能な在留資格で在留していること
- 三か月以上の出国をすると、それまでの在留期間がリセットされる可能性がある
帰化申請の場合
- 原則として、五年以上、日本に継続して住んでいることが必要
- 三か月以上の海外滞在によって、「継続的な滞在」が途切れたと判断されることがある
このように、長期間の出国によって永住申請や帰化申請の条件を満たせなくなることがあります。そのため、長期間の海外滞在を計画している場合は、慎重に判断することが必要です。
長期間の出国が必要な場合の対策
- 出産や海外赴任など、やむを得ず三か月以上出国する場合は、事前に入国管理局へ相談する
- 永住許可や帰化申請を希望している場合は、できるだけ長期の出国を避ける
一年以上の海外滞在は在留資格が無効になる
一年以上日本を離れる場合には、「再入国許可」を取得する必要があります。
再入国許可とは
一年以上日本を離れる場合には、出国前に「再入国許可」を取得しなければ、現在持っている在留資格が自動的に無効になります。
- 日本人の配偶者として在留している場合でも、一年以上の出国で資格が失効する
- 永住者の在留資格を持っている場合も、永住権が取り消される
これは、日本での生活拠点が維持されていないと判断されるためです。
再入国許可の申請方法
申請場所
- 出国前に日本の入国管理局(出入国在留管理庁)で手続きをする
申請できる人
- 現在、日本に適法に在留している外国人
必要書類
- 再入国許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 手数料(片道のみの許可は三千円、複数回再入国可能な許可は六千円)
再入国許可の種類
種類 | 期間 | 特徴 |
片道のみ | 最大五年(または在留期限まで) | 一回のみ再入国可能 |
複数回許可 | 最大五年(または在留期限まで) | 何度でも再入国可能 |
再入国許可を取らずに一年以上出国してしまった場合
一年以上海外に滞在し、再入国許可を取得していない場合、持っていた在留資格は無効になります。
永住者の資格も復活できない
一度失効した永住権は、特別な事情がない限り復活することはできません。
新たに在留資格を取得する必要がある
再び日本での滞在を希望する場合、新規で在留資格の申請をすることになります。
長期の海外滞在を計画する際の重要ポイント
滞在期間 | 手続きの必要性 | 在留資格への影響 |
三か月未満 | 手続き不要 | 影響なし |
三か月以上 | 手続き不要(ただし永住や帰化申請には影響あり) | 在留年数のカウントがリセットされる可能性あり |
一年以上 | 再入国許可の取得が必要 | 許可なしで出国すると在留資格が無効になる |
外国人配偶者が日本を長期間離れる場合には、在留資格を維持するために事前に必要な手続きを確認し、適切に対応することが重要です。特に永住許可や帰化申請を考えている場合には、三か月以上の海外滞在が将来の申請に影響を与えることを理解しておく必要があります。
また、一年以上の滞在では「再入国許可」が必須です。この許可を取らずに出国してしまうと、再び日本に戻る際に大きな影響を受けることになります。
長期間の海外滞在を検討している方は、事前に十分な準備を行い、在留資格を維持するための対策をしっかりと講じましょう。