
ドローンの飛行には、航空法に基づく許可・承認が必要な場合があります。特に業務でドローンを利用する方にとって、毎回個別に申請をするのは非常に手間がかかるため、多くの操縦者が 「全国包括申請」 を活用しています。
本記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市のドローン操縦者の皆様に向けて、全国包括申請の概要、申請方法、メリット・デメリット、注意点を詳しく解説します。
1. 全国包括申請とは?
全国包括申請とは、日本全国で1年間ドローンを飛行させることができる許可・承認を受ける申請方法 です。
通常、ドローンの飛行許可を取得する際は、飛行場所や日時を特定した「個別申請」が必要です。しかし、業務で頻繁に飛行させる場合、毎回個別申請をするのは非効率です。そこで、多くの操縦者が 全国包括申請 を活用しています。
1-1. 全国包括申請で得られる許可・承認の範囲
全国包括申請で取得できるのは、以下の航空法に基づく許可・承認です。
① 許可が必要な飛行エリア(航空法第132条の2)
- DID(人口集中地区)での飛行(住宅街・市街地など)
- 空港周辺での飛行
- 地表または水面から150m以上の高度での飛行
② 承認が必要な飛行方法(航空法第132条の2)
- 夜間飛行(日没後の飛行)
- 目視外飛行(モニターのみを見て飛行させる)
- 30m未満の接近飛行(人・建物・車両などに30m未満で飛行)
- イベント上空での飛行(祭りや集会など)
- 危険物輸送
- 物件投下(物を落とす、散布する)
全国包括申請では、飛行の場所や日時を特定せずに、1年間にわたって許可・承認を得ることができる ため、業務でドローンを活用する場合に非常に便利です。
2. 全国包括申請が必要なケースとは?
全国包括申請は、特に以下のような 業務用途 でドローンを活用する方にとって有益です。
2-1. ドローンを業務で使用する場合
- 建設現場やインフラ点検(橋梁、ダム、送電線の点検など)
- 測量(空撮を活用した地形調査など)
- 農薬散布(農業用ドローンの利用)
- メディア撮影(テレビや広告用の空撮)
2-2. 不定期にドローンを飛ばす場合
- 事前に飛行場所を特定できない
- 各地で撮影・点検業務を行うため、都度申請するのが困難
このようなケースでは、全国包括申請を取得しておくことで、業務の効率化を図ることができます。
3. 全国包括申請のメリットとデメリット
3-1. 全国包括申請のメリット
・日本全国で飛行可能(1年間有効)
・飛行計画を事前に特定せずに済む
・都度申請する手間を省ける
・業務をスムーズに進められる
全国包括申請は、ドローンを業務で頻繁に使用する場合には、ほぼ必須の許可申請 です。
3-2. 全国包括申請のデメリット
・飛行のたびに「FISS」への登録が必要
・個別申請に比べて審査が厳しい
・飛行場所によっては追加の申請が必要な場合もある
全国包括申請を取得した場合でも、飛行のたびに「FISS(飛行情報共有システム)」への登録が必要 となります。また、個別申請よりも審査基準が厳しく、申請時に詳細な飛行計画や安全対策を求められる 点も注意が必要です。
4. 全国包括申請の手続き方法
全国包括申請は、国土交通省のオンライン申請システム「DIPS(ドローン情報基盤システム)」を利用して行います。
4-1. 申請手順
- DIPS(ドローン情報基盤システム)にログイン
- 申請フォームで「全国包括申請」を選択
- 申請情報を入力(使用する機体、飛行目的、安全対策など)
- 必要書類をアップロード(飛行計画、ドローンの機体情報、操縦者情報など)
- 審査を受ける(通常2週間〜1か月程度)
- 許可・承認証の発行
4-2. 申請に必要な書類
- 飛行計画書
- ドローンの機体情報(登録証など)
- 操縦者の資格や実績(講習受講証明など)
- 安全対策書類(飛行時のリスク対策)
5. 全国包括申請の注意点
全国包括申請を取得したからといって、どこでも自由に飛行できるわけではありません。以下の点に注意しましょう。
5-1. FISS(飛行情報共有システム)への登録が必須
全国包括申請を取得している場合でも、飛行前には必ずFISSに飛行計画を登録する必要があります。これにより、有人航空機や他のドローンとの衝突を防ぐことができます。
5-2. 自治体や土地所有者の許可も必要
ドローン飛行が法律上可能でも、土地所有者や自治体のルールによって禁止されている場合 があります。例えば、公園や観光地ではドローンの飛行を禁止している場合があるため、事前に確認が必要です。
6. まとめ 全国包括申請はドローン業務の効率化に必須!
全国包括申請は、日本全国で1年間にわたってドローンを飛行させることができる許可・承認を得る申請方法です。特に業務用途でドローンを利用する場合、毎回個別申請をするよりも、全国包括申請を取得する方が効率的 です。
ただし、FISSへの登録義務や飛行場所の制限 などのルールを守ることが重要です。適切な申請を行い、安全なドローン運用を心がけましょう。