【2025年版】IT導入補助金でよくある補助対象項目を詳しく解説

~対象となる経費・ならない経費を知って賢く申請~

中小企業や個人事業主が、業務の効率化や生産性向上を目的にITツールを導入する際、大きな助けとなるのが「IT導入補助金」です。国の制度として整備されており、東京都江東区や沖縄県那覇市など都市部を中心に、幅広い業種の事業者が活用しています。

しかし、実際の申請の現場では、「どんな経費が補助の対象になるのか?」「これも対象になるのか?」といったご質問を多くいただきます。

今回は、IT導入補助金でよくある補助対象項目について、対象・非対象の違いを明確にしながら詳しく解説します。制度をうまく活用して、賢くデジタル化を進めていきましょう。

目次

1. IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、経済産業省・中小企業庁が実施している補助制度です。中小企業・小規模事業者がITツール(ソフトウェアやシステム等)を導入する際に、その費用の一部を国が補助する仕組みです。

制度の目的

  • 業務効率化(帳簿・請求管理・人事・会計など)
  • 生産性向上(在庫管理・受発注・予約システムなど)
  • テレワークや非対面型ビジネスの導入
  • セキュリティ強化

補助率・上限(例:通常枠)

  • 補助率:1/2以内
  • 補助上限:最大450万円(類型により異なる)

2. 補助対象となる経費は大きく2つ

IT導入補助金において、補助の対象となる経費は、原則として次の2つのカテゴリーに限られます。

  1. ソフトウェア費
  2. 導入関連費

以下、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

  • 3. ソフトウェア費(対象1)

【概要】

業務改善や生産性向上に資する既存のソフトウェア製品の導入費用が対象となります。具体的には、パッケージソフトやクラウド型の業務ソフトが中心です。

【対象になる例】

経理・会計ソフト

例:弥生会計、freee、マネーフォワード等
→ 手入力から自動仕訳に切り替えることで、時間削減とミス防止が可能です。

テレワーク用システム

例:リモートアクセスソフト(VPN)、クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox Business)
→ 社員がどこでも安全に業務にアクセスできる環境を整備できます。

顧客管理(CRM)・営業支援(SFA)システム

例:Salesforce、HubSpot
→ 顧客との接点管理や営業活動の可視化によって売上向上につながります。

在庫・受発注管理ソフト

例:スマレジ、アラジンオフィス
→ 商品や部品の出入りをリアルタイムで管理し、在庫過多や欠品を防ぎます。

【対象にならない例】

× 新たに開発するソフトウェア

→ 「オーダーメイドで一から制作するシステム」は原則対象外です。
たとえば、以下のようなケースです。

  • 自社独自仕様のアプリを開発する
  • Webサイト制作をゼロから行う
  • 特殊な業界向けにカスタムプログラムを設計する

補助金の趣旨は「既に効果実証されているITツールの導入」にあるため、リスクのある新規開発は補助対象外とされています。

4. 導入関連費(対象2)

【概要】

ソフトウェア導入に付随して発生する必要不可欠な費用も一部補助されます。「ソフトウェア単体」だけでは運用できない場合に、その周辺に必要な機器・サービス等が該当します。

【対象になる例】

セキュリティ対策関連ソフトウェア

例:ウイルス対策ソフト、ファイアウォール設定、アクセス管理ツール
→ テレワークやクラウド導入に伴う情報漏洩リスクを回避するために重要です。

ソフトウェア連携のためのオプション製品

例:API接続費用、外部クラウド連携の構築、各種プラグイン費用
→ 導入するツールを既存システムと統合するための作業に必要です。

初期設定・操作説明・研修費用

→ ツールの使用を始めるにあたって必要な初期設定や操作方法の説明も対象となる場合があります。

【対象にならない例】

× ハードウェア機器の購入

パソコン、タブレット、複合機などの物理的な機器の購入費用は対象外です。
(※ただし、「デジタル化基盤導入類型」では一部ハードウェアも対象になる可能性があります)

× 単なるサポート費用や保守契約のみ

運用後の保守契約やメンテナンス費用など、導入そのものと直接関係のないサービスは対象外となることがあります。

5. IT導入補助金でよくある誤解・注意点

「補助金が出るから新しくソフトを作ってもらおう」はNG

自社仕様でシステムを一から開発するケースは、一般的に補助対象外です。既存の登録済ITツールを導入することが大前提です。

「なんでもITっぽければ対象になる」わけではない

たとえば以下は補助対象とならないことが多いです。

  • 動画編集ソフト(業務と関係が明確でない)
  • デザインソフト(特殊用途で汎用性が低い)
  • 単なるSNS運用支援ツール

登録されたIT導入支援事業者経由で申請が必要

IT導入補助金の申請は、「IT導入支援事業者」として登録されたベンダー(ソフトウェア提供会社)を通して行う必要があります。
個人で自由に申請できるものではないため、事前に信頼できる事業者を探しておくことが重要です。

6. 東京都・沖縄県の事業者にとっての活用メリット

【東京都江東区の事業者様へ】

  • コロナ禍以降、非対面型の営業スタイルへの転換が求められています。
  • 営業支援ツールやオンライン予約システムの導入により、限られた人員でも効率的な業務が可能に。

【沖縄県那覇市の事業者様へ】

  • 観光業や飲食業が中心の地域では、受発注や予約管理のIT化が急務です。
  • 人手不足を補う形で、業務効率化を実現できるチャンスとなります。

7. まとめ 対象経費を正確に理解し、無駄なく申請しよう

IT導入補助金は、あくまで「既存の業務効率化・生産性向上を目的としたITツール導入」が前提です。補助対象は限られており、「ソフトウェア費」と「導入関連費」に絞られています。

特に重要なのは、対象経費とならないものに無駄な期待をせず、制度の主旨に沿った計画を立てることです。正しい理解のもと、補助金を賢く活用することで、事業のデジタル化・業務改善を着実に進めることができます。

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