
特定建設業の許可を取得する際には、専門的な申請書の作成と多数の添付書類の準備が必要になります。初めての方はもちろん、一般建設業からの切替を検討している方でも、記載方法に不安を感じる方は多いでしょう。
今回は、提出前の自己チェックリストをまとめ、スムーズな申請につなげるためのガイドとしてご紹介します。
1. 申請書の構成とポイント
特定建設業許可申請書は、以下のような構成で提出します。
【主要な申請書類の構成】
- 様式第1号「建設業許可申請書(表紙)」
- 様式第2号「工事種類ごとの業種欄」
- 様式第3号「役員等の一覧表」
- 様式第4号「専任技術者一覧表」
- 様式第6号「営業所一覧表」
- 様式第7号「財務諸表」
- 様式第8号「使用人数」
- 誓約書
- 主要取引金融機関等の情報
これらの書類には、正確な記載と裏付け資料の添付が求められます。
2. 添付書類の一覧と具体的内容
書類名 | 内容 | 補足 |
履歴事項全部証明書 | 法人登記の内容 | 発行後3ヶ月以内 |
納税証明書(法人税) | 国税(様式その3の3) | 管轄税務署発行 |
財務諸表(直前期) | 貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書等 | 決算書と一致させること |
専任技術者証明書 | 資格証コピー or 実務経験証明(工事経歴書等) | 業種ごとに必要 |
住民票、身分証明書 | 役員全員分 | 市区町村で取得 |
登記されていないことの証明書 | 成年後見制度非該当の証明 | 法務局発行 |
営業所の使用権限を示す書類 | 賃貸契約書など | 自社所有であれば登記事項証明書 |
3. 自己チェックリスト【申請前に確認すべき20項目】
以下のリストを使えば、提出直前に「不備ゼロ」を目指せます。
【書類編】
☐ 申請書類一式は、各様式が最新のものを使用しているか
☐ 商号・代表者氏名・所在地は登記簿と一致しているか
☐ 財務諸表は直前期の決算に基づき、税務署提出内容と整合しているか
☐ 納税証明書は有効期限内かつ「その3の3」であるか
☐ 専任技術者の資格証コピーは鮮明かつ両面添付されているか
☐ 実務経験の場合、証明工事一覧や契約書類は業種に合っているか
☐ 役員全員分の住民票と身分証明書がそろっているか
☐ 営業所の写真(外観・内観)を添付したか(自治体による)
☐ 使用権限証明(賃貸契約書など)に代表者の記名押印があるか
☐ すべての書類で日付・押印漏れがないか(法人印も注意)
【財務要件編】
☐ 資本金2,000万円以上を登記しているか
☐ 自己資本額が4,000万円以上あるか
☐ 欠損金が直前3期で累積していないか
☐ 減価償却計算の方法と記載が正確か
☐ 金融機関からの借入状況が過剰ではないか
【技術者・体制編】
☐ 専任技術者の常勤体制が確保できているか
☐ 他社との兼務がないことを確認したか
☐ 建設業法に基づく欠格要件(刑罰歴など)に該当しないか
☐ 代表者が他の許可業者の代表を兼務していないか(許可要件に影響あり)
☐ 提出前に、都道府県の担当課に相談・予約確認をしたか
4. 提出先と相談のポイント
- 東京都江東区の方:東京都庁 都市整備局 建設業課
- 沖縄県那覇市の方:沖縄県庁 土木建築部 技術・建設業課
特定建設業の申請は地域によって「独自の様式・添付物」が求められる場合があります。提出前には、必ず事前相談を行い、最新の記載要領を確認することが大切です。
5. まとめ
特定建設業の許可申請には、正確な書類作成と多岐にわたる添付資料が必要です。とくに「財務状況」や「専任技術者の資格・経験」は審査の大きなポイントであり、確認不足のまま申請してしまうと、補正や再提出に時間がかかることになります。
今回ご紹介した自己チェックリストを活用し、丁寧かつ効率的に準備を進めてください。特定建設業の許可を取得すれば、より大きな工事を元請として受注できるようになり、企業としての信用力・発展性も高まります。
東京都江東区や沖縄県那覇市で建設業を営む皆様が、確実に特定建設業へステップアップできるよう、行政書士として全力でサポートいたします。