建設業許可の業種追加後にも気を付けることがある、必要な届出や注意点について

建設業許可の「業種追加」が無事に完了すると、ほっと一息つきたくなるものです。
しかし、業種追加後も適切な届出や管理を行わないと、せっかく取得した許可が無効になったり、行政指導の対象になったりするリスクがあります。

この記事では、業種追加後に必要な届出や注意点について、東京都江東区・沖縄県那覇市の方向けに詳しく解説します。
今後の事業運営に役立てていただければ幸いです。


目次

1. 業種追加後に必要な主な届出一覧

建設業許可の業種追加後に必要な手続きは、主に以下の通りです。

届出内容届出期限ポイント
変更届(許可内容変更届出)変更後30日以内業種追加に伴う許可内容の変更を届け出る
決算変更届(事業年度終了報告)毎事業年度終了後4か月以内新たに追加した業種についても売上等を記載
経営事項審査(経審)申請必要に応じて公共工事受注を目指す場合は早めに申請
建設業許可票の変更速やかに追加業種を反映させた新しい許可票を掲示

それぞれ、順番に詳しく見ていきましょう。


2. 業種追加後の変更届について

(1)変更届とは?

業種追加をすると、建設業許可証に記載されている「許可業種」の内容が変わります。
この変更を役所に届け出るのが、変更届(正式には「建設業許可変更届出書」)です。

ポイント

  • 業種追加後30日以内に提出が必要
  • 「様式第二十二号の二」で申請
  • 添付書類として、許可証明書の写しや新しい許可証の写しが必要になる場合も

※提出先は、もともとの許可を受けた自治体(都道府県または国土交通大臣)です。

(2)変更届を怠った場合のリスク

変更届を出し忘れると、行政指導の対象になります。
さらに悪質な場合は、許可取消し処分を受ける可能性もあります。

特に公共工事の入札参加資格審査では、変更届未提出が大きなマイナスポイントとなり、入札資格そのものを失うリスクもあります。

【対策】
業種追加許可通知が届いたら、速やかに変更届を作成し、提出を完了させましょう。


3. 決算変更届(事業年度終了報告)の提出

(1)決算変更届とは?

建設業許可業者には、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する義務があります。
業種追加後も、この義務は当然継続します。

業種追加の影響

  • 新たに追加した業種についても、売上が発生すれば報告が必要
  • 売上がゼロでも「0円」として記載しなければならない
  • 工事経歴書に、新業種での工事実績を記載する場合もある

(2)決算変更届に必要な書類

  • 変更届出書(様式第二十三号)
  • 工事経歴書
  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
  • 注記表
  • 事業報告書(株式会社のみ)
  • 納税証明書(法人税納付を証明するもの)

【注意点】 業種追加後初めての決算変更届では、新業種の情報を正しく反映する必要があります。
工事経歴書に追加業種の工事実績を記載する際は、業種区分を間違えないように注意しましょう。


4. 経営事項審査(経審)の対応

(1)経審とは?

経営事項審査(経審)とは、公共工事の入札参加を希望する建設業者が受ける客観的な経営評価です。
業種追加によって、公共工事の受注業種を広げたい場合には、追加業種分についても経審を受け直す必要があります。

【例】

  • これまで「建築一式工事」だけだったが、「土木一式工事」も追加した → 土木一式についても経審が必要

(2)経審の注意点

  • 評価項目(完成工事高、技術職員数など)に新業種分を加味
  • 決算変更届を適切に出していないと経審を受けられない
  • 受審には事前に公共工事実績や配置技術者数の整備が必要

【対策】
業種追加後、公共工事を視野に入れている場合は、早めに経審スケジュールを立て、必要書類を整備しましょう。


5. 建設業許可票(標識)の更新

(1)許可票の更新が必要

事務所や現場に掲示している「建設業許可票」には、許可業種が記載されています。
業種追加後は、この許可票を新しい内容に更新する必要があります。

許可票には、以下の情報が記載されます。

  • 商号又は名称
  • 代表者氏名
  • 許可番号
  • 許可年月日
  • 許可を受けた業種名

(2)許可票の作り直し手順

【手順】

  1. 業者に新しい許可票の作成を依頼
  2. 許可通知書を元に正確な情報を記載
  3. 速やかに掲示場所に設置

注意点

  • 許可票の掲示は建設業法上の義務
  • 掲示しないと行政指導の対象になり得る

【対策】
許可通知書を受け取ったら、速やかに新しい許可票を作成・掲示しましょう。


6. 業種追加後に注意すべきその他のポイント

(1)許可の有効期間は更新されない

業種追加をしても、建設業許可自体の有効期間(通常5年間)はリセットされません
つまり、許可の更新時期は変わらないので、更新手続きの準備も並行して考える必要があります。

【例】

  • 元の許可有効期間:令和5年10月1日~令和10年9月30日
  • 業種追加:令和7年3月15日 → 許可の有効期限は「令和10年9月30日」のまま

(2)営業活動や契約書の内容変更にも注意

業種追加後は、受注できる工事の幅が広がりますが、契約書や請求書に記載する業種名にも注意が必要です。

  • 業種ごとの工事名を明確に記載する
  • 許可のない業種で工事を請け負っていないか、二重チェックする

【対策】
営業担当者・現場責任者向けに、許可業種一覧を共有し、追加業種について周知徹底を図りましょう。


7. まとめ 業種追加後も適切な届出と管理を

建設業許可の業種追加は、スタートラインに立ったに過ぎません。

  • 変更届
  • 決算変更届
  • 許可票の更新
  • 必要に応じた経審申請
    といった一連の手続きを確実にこなすことが、安定した許可維持につながります。

【まとめ】

  • 業種追加後30日以内に「変更届」を提出
  • 決算期ごとに「決算変更届」を提出
  • 公共工事を目指すなら「経営事項審査」も受審
  • 「建設業許可票」を速やかに更新・掲示
  • 許可更新スケジュールも忘れずに管理

こうした地道な管理を怠らず、安心して追加業種の営業活動を広げていきましょう。
江東区・那覇市の方も、地域特性に合わせた許可運営を心がけることが成功への近道です。

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