建設業許可業者が入札参加を目指すための流れ、入札参加資格審査申請までの徹底解説

建設業許可を取得した後、公共工事を受注したいと考える事業者にとって重要なのが「入札参加資格審査(以下、参加資格審査)」です。
参加資格審査は、国や自治体が発注する工事に参加するための登録制度であり、建設業者として信頼性・実績・財務基盤を示すために欠かせない手続です。

しかし、参加資格審査は自治体によって時期も方法も大きく異なり、慣れていない事業者がスケジュールを誤ると せっかく建設業許可を持っていても入札に参加できない という事態も起こります。

以下では、東京都江東区や沖縄県那覇市で入札参加を検討している事業者に向けて、参加資格審査までの具体的な流れや注意点を整理しながら解説します。

目次

1 入札参加資格審査とは何か

参加資格審査とは、国・東京都・区市町村などの発注機関が、工事を発注する際に「どの業者に入札参加を認めるか」を決めるための審査です。

審査の目的は以下のとおりです。

1 経営内容が健全であるか
2 技術力や実績が一定以上あるか
3 過去の不正行為などがないか
4 工事を適切に履行できる体制があるか

つまり、建設業許可とは別の、「公共工事を受注するための入口」と言える制度です。

2 有効期間は自治体によって異なる

参加資格審査の有効期間は「1年~3年」と発注機関ごとに異なります。

1 国の機関:おおむね2年間
2 都道府県:1~2年間
3 市区町村:1~3年間でバラバラ

このように、統一されたルールがあるわけではなく、各機関が独自に更新サイクルを持っています。

3 年度ごとに更新されるのが一般的

多くの自治体では「年度」を基準に入札資格を管理しています。

1 年度は4月1日から翌年3月31日
2 この年度を1〜3年度分として資格期間を設定
3 新しい年度の開始(4月1日)に合わせて登録が行われることが多い

そのため、年度初めに資格が有効となるように、事業者は逆算して申請を行う必要があります。

4 いつ申請すればよいのか

一般的に、4月1日に資格登録されるようにするためには、前年の10月~翌年の2月頃 に申請を行うケースが多く見られます。

ただし、次の点が非常に重要です。

1 申請期間は自治体ごとに異なる
2 申請受付期間は年に一度とは限らない
3 年中受付の自治体もあれば、数日間だけ受付する自治体もある
4 有効期間も自治体ごとに異なる

つまり、全国共通のカレンダーが存在するわけではありません。

東京都江東区、東京都、国、あるいは沖縄県那覇市、沖縄県など、 参加したい発注機関ごとに申請時期を個別に確認する必要があります。

「シラミ潰しに確認する」という言葉が指すとおり、“自ら情報を取りに行く”姿勢が不可欠です。

5 参加資格審査に必須の書類:経審結果通知書

参加資格審査では多くの発注機関が「経営事項審査(経審)」の結果通知書の提出を求めています。

正式名称は
「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」
ですが、通常は「経審結果通知書」と呼ばれています。

経審結果通知書が必要ということは、申請時点で以下の条件を満たしていなければなりません。

1 決算が確定している
2 決算変更届が受理されている
3 経審を受けて、結果通知書が手元にある

この条件を満たすまでには相応の期間がかかるため、十分な準備が必要です。

6 経審結果が必要になるまでの流れ

参加資格審査に間に合わせるためには、以下の流れを確実に進める必要があります。

1 決算が締まる(決算確定)
2 建設業許可の決算変更届を提出
3 経営事項審査(経審)を受ける
4 経審の結果通知書が届く
5 入札参加資格審査の申請を行う

この順番は決して前後できません。

7 標準スケジュール 決算から経審まで約6〜7ヶ月

決算月末から経審結果通知書が届くまでは、一般的に 6〜7ヶ月程度 が必要です。

以下は標準的なモデルケースです。

1 決算月:3月
2 決算書作成・税務申告:4月~5月
3 決算変更届の提出:5月~6月
4 経審申請:6月~8月
5 経審受審:7月~9月
6 結果通知書の到着:8月~10月

その後、参加資格審査の申請(10月~翌2月)が可能になります。

このスケジュールを逆算することで、 どのタイミングでどの作業を行うべきか明確に把握できます。

8 東京都江東区・沖縄県那覇市での注意点

東京都江東区および那覇市は、それぞれ独自に参加資格審査を実施しています。

1 江東区
 申請受付期間が定期的に設定されている
 建設工事、測量・建設コンサルなど区分がある
 過去の実績や技術者要件が細かく設定されることもある

2 那覇市
 那覇市独自の受付期間と評価基準がある
 沖縄県と那覇市の両方に登録を行う事業者も多い

3 沖縄県
 県独自の技術者要件や加点項目がある
 申請時期は必ず県の公式発表を確認する必要がある

自治体ごとに内容が異なるため、日頃から最新情報を収集しておくことが非常に重要です。

9 スケジュール管理の重要性

参加資格審査は、申請期間が数日間しかない自治体も存在するため、スケジュールを誤ると 次の年度まで入札に参加できない といった不利益が生じます。

1 経審結果が間に合わない
2 申請期間に気づかなかった
3 必要書類が揃わなかった

こうしたミスは少なくありません。

特に、沖縄県那覇市や東京都江東区のように公共工事の発注が積極的に行われている地域では、参加資格があるかどうかで実績や収益に大きな差が生じます。

10 まとめ 入札参加のためには早めの準備が必須

参加資格審査までの流れを改めて整理します。

1 参加したい自治体の申請時期を確認する
2 決算を確定させる
3 決算変更届を提出する
4 経審を受ける
5 経審結果通知書を受け取る
6 参加資格審査を申請する

決算が締まってから経審結果が届くまで約6~7ヶ月かかる点を考慮すると、 入札参加を検討する段階からスケジュール管理は必須 となります。

東京都江東区、東京都、国、沖縄県那覇市、沖縄県など、複数の発注機関へ参加を考える事業者は、それぞれの受付期間を把握した上で計画的に行動することが重要です。

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