これまで、戸籍謄本や戸籍抄本などの請求は本籍地の自治体でしか行えませんでした。しかし、戸籍法の一部改正により、令和6年3月1日から新たに「広域交付」という制度が導入されました。これにより、住民票を置いている自治体で、戸籍謄本を含む一部の戸籍関連証明書を取得できるようになりました。この変更は、多くの人にとって大きな便利さを提供することになります。
広域交付制度の概要
広域交付制度により、今後は本籍地まで足を運ぶことなく、地元の自治体の窓口で戸籍謄本等の請求が可能となります。ただし、請求できる証明書の種類や申請方法にはいくつかの制限がありますので、事前に確認しておくことが重要です。
請求できる証明書
広域交付制度では、以下の証明書が請求可能です。
- 戸籍謄本: 450円
- 除籍謄本: 750円
- 改製原戸籍謄本: 750円
一方で、以下の証明書については広域交付の対象外となりますので、本籍地での請求が必要です。
- 戸籍抄本
- 戸籍の附票
- 身分証明書
- 独身証明書
これらの証明書は引き続き、本籍地の自治体で請求しなければなりません。
広域交付の請求者と制限
広域交付制度を利用できるのは以下の人々です。
- 本人
- 配偶者
- 直系尊属(親や祖父母など)
- 直系卑属(子や孫など)
そのため、兄弟姉妹による請求は認められていません。また、代理人による請求も広域交付の対象外となります。行政書士などが委任状をもとに請求することはできませんので、注意が必要です。
手数料と実際の運用
広域交付で請求する際の手数料は上記の通りですが、注意点もあります。新制度の開始に伴い、システムに不具合が発生することがあります。特に導入直後の段階では、広域交付において即日で証明書を取得できない自治体も多く見受けられます。そのため、急いで証明書が必要な場合には、引き続き本籍地の市区町村に請求することも選択肢として考えるべきです。
まとめ
令和6年3月1日からの広域交付制度の導入により、戸籍謄本の取得が大幅に便利になります。地元の自治体で手続きができるようになり、これまでよりも手間が省けるようになるでしょう。しかしながら、戸籍抄本や附票、身分証明書といった一部の証明書については引き続き本籍地での請求が必要です。新制度の運用状況を確認し、必要な書類の取得に役立ててください。
この変更により、日常生活の中での証明書取得がよりスムーズに行えるようになることを期待しています。