
日本の日本語学校や大学、専門学校に通う外国人留学生が、日本人と出会い、交際を経て結婚するケースが増えています。しかし、結婚後に「留学ビザ」から「日本人の配偶者等」への在留資格変更を行う際には、申請のタイミングによって審査の難易度が大きく変わります。本記事では、スムーズに申請を進めるためのポイントや注意点を詳しく解説します。
1. 「日本人の配偶者等」に変更するタイミングで審査の難易度が変わる
① 学校を卒業後に変更申請する場合(スムーズな審査)
留学生が学校を卒業した後に「日本人の配偶者等」への変更申請を行う場合、審査は比較的スムーズに進むことが多いです。
なぜなら、「留学生としての責務を果たし、きちんと学業を修了したうえで結婚し、在留資格を変更する」という流れであれば、入管側も「正当な手続き」として納得しやすいためです。
② 在学中に退学して変更申請する場合(厳しい審査)
一方で、学校を退学し、その後すぐに「日本人の配偶者等」への在留資格変更を申請する場合、審査は非常に厳しくなります。
入管は、「なぜ学業を途中で辞めたのか?」という点を厳しくチェックし、場合によっては通常よりも多くの書類提出を求めることがあります。その背景には、偽装結婚による不正な在留資格取得を防ぐという目的があります。
2. 退学後の申請が厳しくなる理由
近年、以下のような理由で留学ビザを維持できなくなった外国人が、日本人との結婚を利用して日本に滞在しようとするケースが増えています。
- 「勉強したくないから、日本人と結婚して日本に残りたい」
- 「学費を払えないので、結婚を理由にビザを変更したい」
- 「出席率や成績が悪く、学校から退学処分を受けた」
- 「留学ビザの延長が難しくなったので、結婚して滞在を続けたい」
このような理由での申請を防ぐため、入管は「退学後の申請」に対して慎重に審査を行います。
疑われやすいポイント
- 退学の理由が不自然ではないか?
- 結婚の経緯が本当に自然なものか?
- 交際期間が極端に短くないか?
- 学業の成績や出席状況に問題がなかったか?
- 日本人配偶者の収入や生活基盤が安定しているか?
3. 留学ビザから「日本人の配偶者等」に変更する際の必要書類
申請には、基本的な書類に加え、ケースによって追加資料の提出が求められることがあります。
① 基本書類(全員共通)
- 在留資格変更許可申請書(入管庁の公式サイトからダウンロード可能)
- パスポートおよび在留カード
- 日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻記録が記載されているもの・発行後3ヶ月以内)
- 婚姻届受理証明書(結婚直後の場合)
- 住民票(夫婦の世帯が同一であることを証明)
- 質問書(結婚に至る経緯を詳細に記載)
- 夫婦の写真(結婚式や日常の写真など)
- 日本人配偶者の収入証明書(源泉徴収票、納税証明書、給与明細など)
- 日本人配偶者の住民税納税証明書
② 追加書類(退学後の申請者向け)
- 成績証明書および在学証明書(または退学証明書)
- 学校の出席記録(出席率が悪くないか確認される)
- 退学理由書(退学の経緯を説明)
- 学費の支払い状況の証明書(経済的な問題がなかったか確認)
- 結婚が真実であることを証明する資料(LINEの履歴、旅行の写真など)
4. 申請の流れとポイント
① 必要書類を準備する
申請に必要な書類を事前に準備し、不備のないように整えます。特に退学後の申請の場合は、審査が厳しくなるため、追加書類も揃えておくことが重要です。
② 入国管理局へ申請を提出する
東京都江東区や沖縄県那覇市に住んでいる場合、それぞれ以下の入管局に申請を行います。
- 東京都江東区の場合 → 東京出入国在留管理局(品川)
- 沖縄県那覇市の場合 → 福岡出入国在留管理局 那覇支局
③ 追加書類の要求に対応する
申請後、入管から追加書類の提出を求められることがあります。特に退学後の申請では、「退学の理由」「結婚の真実性」について説明を求められる可能性が高いため、迅速に対応できるよう準備しておきましょう。
④ 審査結果を待つ(通常1〜3ヶ月)
審査期間は通常1〜3ヶ月程度ですが、退学後の申請ではより慎重に審査されるため、時間がかかることがあります。
⑤ 許可が下りたら新しい在留カードを受け取る
許可が下りた場合、入管局から通知が届き、新しい「日本人の配偶者等」の在留カードを受領します。
5. まとめ 慎重な準備が成功のカギ
卒業後に申請する方がスムーズ(留学生としての責務を果たしているため)
退学後に申請する場合は審査が厳しい(退学の理由や結婚の真実性が問われる)
退学後の申請では追加書類が必要(成績証明書、退学証明書、経済状況の証明など)
事前にしっかりとした準備をしておくことが重要
東京都江東区や沖縄県那覇市で在留資格変更を検討している方は、申請前に行政書士に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。お困りの際は、専門家にぜひご相談ください。