本国に暮らす親を長期で日本に呼びたい!在留資格の現状と可能性とは

外国に住む親を日本に呼び、長期的に一緒に暮らしたいと考える方は多くいらっしゃいます。しかし、現行の入管法では「親を扶養するための在留資格」は設けられておらず、原則として長期滞在のビザを取得するのは難しいのが現状です。ただし、過去には特例として「特定活動」の在留資格が認められたケースもあります。

この記事では、外国籍の親を日本に長期滞在させるための現実的な方法と、過去の事例を踏まえた申請のポイントについて詳しく解説します。

目次

親を長期で日本に呼ぶためのビザはあるのか?

現行の日本の在留資格制度では、親を長期的に日本に呼び寄せるための明確なビザは存在しません。

通常、親を日本に呼ぶ方法としては、以下のようなビザの取得を検討することになります。

1. 短期滞在ビザ(親族訪問)

親が日本に一時的に滞在する場合に申請できるビザです。

  • 最大90日間の滞在が可能
  • 滞在中は就労不可
  • 一定の条件を満たせば延長申請も可能

ただし、長期滞在を前提とした利用は認められておらず、継続的な延長は困難です。

2. 留学ビザ

もし親が日本で学びたい場合、日本語学校や専門学校、大学への入学を条件に「留学」ビザを取得する方法もあります。

  • しかし、高齢の親がこの方法を取るのは現実的ではありません。

3. 投資・経営ビザ(経営管理ビザ)

親が日本で事業を立ち上げる場合に取得できる可能性があります。

  • 法人設立と500万円以上の出資が必要
  • 実際に経営活動を行う必要がある

ただし、年齢が高い親が新たに事業を始めるのはリスクが大きいため、実現は難しいケースがほとんどです。

「特定活動」への変更による長期滞在の可能性

過去には、一時的に短期滞在で来日した親が、その後「特定活動」へ在留資格変更を認められたケースがあります。

「特定活動」への変更が認められた事例

  • 親が高齢(65歳以上)で、配偶者がいない
  • 母国に親の面倒をみる家族がいない
  • 日本に住む子(招聘人)が唯一の扶養者である
  • 日本での生活を支える十分な経済力がある

このような事情が認められた場合、特例として「特定活動」の在留資格が与えられることがあります。ただし、あくまで例外的な措置であり、誰でも許可されるわけではありません。

「特定活動」の在留資格を取得するためのポイント

「特定活動」の在留資格を取得するには、以下の条件を満たしていることを示す必要があります。

1. 親が65歳以上で1人暮らしであること

  • 配偶者がすでに亡くなっている、または離婚しており、扶養してくれる家族がいないことが条件です。
  • 本国に他の子供や兄弟姉妹がいる場合は認められにくいため、親が単独で生活していることを証明する必要があります。

2. 本国に親を扶養できる親族がいないことを証明

  • 例えば、親の兄弟や別の子供がいる場合は「そちらで面倒をみるべき」と判断されることが多いため、そのような親族がいないことを証明する必要があります。

3. 日本にいる子供(招聘人)が唯一の扶養者であること

  • 日本に住む子供が、親を養う唯一の人物であり、本国に扶養できる者がいないことを明確に説明することが重要です。
  • これまでの送金履歴や仕送りの証拠を示し、親の生活を支えていた実績を証明することで許可の可能性が高まります。

4. 親を扶養できる十分な経済力があること

  • 親が日本で生活するためには、日本にいる子供が経済的にしっかり支援できることを証明する必要があります。
  • 給与証明書、納税証明書、銀行の預貯金額の証明などを提出し、安定した収入があることを示します。

申請時の注意点

「特定活動」で親の長期滞在を希望する場合、以下の点に注意してください。

1. 必ず短期滞在ビザで来日後に申請する

  • いきなり長期滞在を目的とした申請は認められません。まずは「親族訪問」などの短期滞在ビザで日本に呼び、その後「特定活動」へ在留資格変更を申請する流れになります。

2. 入管の審査は非常に厳しい

  • 「特定活動」は特例措置であり、申請しても必ず許可が下りるわけではありません。
  • 提出する資料や申請理由書の作成が極めて重要になります。

3. 書類準備と事前相談が必須

  • 親の生活状況、経済的な支援の実態を客観的な資料で示すことが求められるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ 親を日本に長期滞在させるには?

現在、日本の入管法では「親の扶養を目的としたビザ」は用意されていません。 しかし、一定の条件を満たせば、「特定活動」の在留資格を取得できる可能性があります。

申請のポイント

・親が65歳以上で配偶者がいない
・本国に親の面倒をみる家族がいない
・日本にいる子供(招聘人)が唯一の扶養者
・子供に十分な経済力がある

申請には厳格な審査があるため、専門家のサポートを受けながら準備を進めることが成功の鍵となります。

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