
事業の成長を考えるうえで、資金確保は大きな課題の一つです。特に、規模の小さな会社や個人事業主にとって、売上拡大のための投資には慎重な判断が求められます。そんな小規模事業者を支援する制度の一つが、「小規模事業者持続化補助金」です。
本記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市の事業者の方々に向けて、この補助金の目的や申請の流れ、活用する際のポイント、注意点について詳しく解説します。補助金を有効に活用し、事業の成長につなげましょう。
1. 小規模事業者持続化補助金とは?
1-1. 補助金の目的
「小規模事業者持続化補助金」とは、名前の通り「小規模事業者のみを対象とした補助金」です。この補助金の目的は、「小規模事業者の売上拡大」を支援することにあります。
事業を成長させるためには、新たな設備投資や販路拡大の取り組みが必要ですが、資金力の限られた事業者にとっては大きな負担となることがあります。そこで、国が補助金を通じて支援を行い、事業者の負担を軽減しながら成長を後押しするという仕組みです。
1-2. 小規模事業者の定義
小規模事業者持続化補助金は、「小規模事業者」に該当する事業者のみが対象となります。
業種 | 小規模事業者の定義 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 常時使用する従業員数が5名以下 |
宿泊業・娯楽業・製造業・その他の業種 | 常時使用する従業員数が20名以下 |
法人だけでなく、個人事業主も対象となるため、規模の小さな会社や個人経営者にとって利用しやすい補助金制度です。
2. 補助金の対象となる事業内容
この補助金では、「売上拡大や事業の持続に向けた取り組み」が対象となります。具体的には、以下のような費用が補助の対象となります。
2-1. 補助対象経費の例
費用の種類 | 具体例 |
広告宣伝費 | チラシやホームページの作成、SNS広告の運用など |
設備投資費 | 新しい機械の購入、内装改装、POSレジの導入 |
開発費 | 新商品の試作品開発、パッケージデザインの変更 |
展示会出展費 | 展示会の出展料、ブース設営費、交通費 |
外注費 | ECサイトの構築、デザイン制作の依頼 |
補助金の申請を行う際には、これらの経費が「売上拡大のために必要なものである」と説明できるようにすることが重要です。
3. 補助金の支給額と補助率
小規模事業者持続化補助金の補助率と上限額は、申請する枠によって異なります。
申請枠 | 補助率 | 補助上限額 |
通常枠 | 2/3 | 50万円 |
賃上げ枠 | 2/3 | 200万円 |
創業枠 | 2/3 | 200万円 |
インボイス枠 | 2/3 | 100万円 |
例えば、通常枠では補助対象経費の2/3(最大50万円)が補助されます。つまり、75万円の経費を使った場合、その2/3である50万円が補助され、自己負担は25万円となります。
4. 申請の流れと必要書類
4-1. 申請の流れ
- 事業計画書の作成
- 事業の概要、取り組む内容、期待される効果をまとめる
- 商工会議所の確認を受ける
- 地域の商工会議所(または商工会)に事業計画書を提出し、確認を受ける
- 補助金申請書を提出
- 商工会議所の確認を受けた後、正式に補助金申請書を提出
- 審査・採択
- 申請内容を審査され、採択されれば補助金の交付が決定
- 事業の実施
- 採択された事業計画に基づき、補助対象経費を使って事業を進める
- 実績報告書の提出
- 事業が完了したら、経費の領収書などとともに報告書を提出
- 補助金の受け取り
- 実績報告が認められれば、補助金が振り込まれる
4-2. 申請時の必要書類
- 申請書
- 事業計画書
- 経費の見積書(2社以上からの相見積もりが推奨)
- 直近の確定申告書や決算書
- 事業の概要がわかる資料
5. 補助金を申請する際の注意点
5-1. 補助金の使い方を厳守する
補助金は「自由に使えるお金」ではなく、あらかじめ申請した目的以外には使えません。例えば、広告宣伝費として申請したのに、機材の購入に充てた場合、補助金の返還を求められる可能性があります。
5-2. 事前着手は禁止
補助金は、採択される前に事業を始めてしまうと、補助の対象外となります。必ず採択が決まってから取り組みを開始しましょう。
5-3. 虚偽申請は厳禁
虚偽の情報で申請すると、補助金の返還や罰則の対象となるだけでなく、今後の補助金申請ができなくなるリスクがあります。
6. まとめ
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が売上拡大を目的とした投資を行う際に活用できる補助金制度です。補助金の適切な使い方を理解し、事前準備をしっかり行うことで、事業の成長に役立てることができます。
東京都江東区や沖縄県那覇市で補助金申請を考えている方は、事前に地域の商工会議所に相談し、正しい手順で申請を進めることが重要です。申請の際には、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。