工事経歴書の書き方と注意点、経審を受けない場合の対応も含めて

1. 工事経歴書とは

工事経歴書は、建設業許可を申請する際に提出が求められる書類の一つです。この書類は、申請者が過去に行った工事の実績を詳細に記載するものであり、許可の取得や更新において非常に重要な役割を果たします。工事経歴書は、経営事項審査(以下「経審」)を受ける場合には特に重要ですが、経審を受けない場合でも正確な記載が求められます。本記事では、工事経歴書の書き方とその注意点、さらに経審を受けない場合の書き方について詳しく解説します。

2. 工事経歴書の基本構成

工事経歴書は、以下の項目で構成されています。

  • 工事名称:工事の具体的な名称を記載します。
  • 工事場所:工事を行った場所を市区町村単位で記載します。
  • 発注者名:工事を発注した元請業者や施主の名前を記載します。
  • 請負金額:契約金額を記載します。元請の場合はそのまま、下請の場合は実際に受け取った金額を記載します。
  • 工期:工事の着手日と完成日を記載します。
  • 工事種別:どのような工事を行ったのかを分類し、具体的に記載します(例:土木一式工事、建築一式工事など)。

備考:特記事項があれば記載します。

3. 書き方のポイント

3.1 正確さと整合性

工事経歴書は、他の提出書類(決算書、納税証明書など)と整合性を持たせる必要があります。記載内容がこれらの書類と矛盾していると、審査の過程で指摘を受け、許可が下りない可能性があります。特に請負金額や工期の記載には細心の注意が必要です。

3.2 契約書や請求書の確認

工事経歴書を作成する際には、必ず契約書や請求書などの関連資料を確認し、実際の金額や工期を正確に反映させることが重要です。特に過去の工事をさかのぼって記載する場合、記憶だけに頼らず、必ず書面で確認することを徹底しましょう。

3.3 工事種別の適切な選定

工事種別の分類は、建設業許可の種別によって異なります。例えば、「建築一式工事」と「大工工事」は異なる許可種別に該当します。正しい工事種別を選定することで、審査の際に誤解を招かないようにすることが必要です。

3.4 経審との関連

経審を受ける場合、工事経歴書の内容が直接経審結果に影響を与えます。具体的には、請負金額や工事種別、工期などの情報が評点算定に利用されるため、特に正確な記載が求められます。経審を受けない場合でも、工事経歴書は許可申請の信頼性を高める重要な書類であるため、同様に正確な記載が求められます。

4. 経審を受けない場合の工事経歴書の書き方

経審を受けない場合でも、工事経歴書は適切に作成する必要があります。経審を受けないということは、評点が必要ないことを意味しますが、それでも許可更新時や新規申請時には工事経歴が審査の対象となります。

4.1 経審を受けない場合の記載内容

経審を受けない場合でも、記載内容に変更はありません。ただし、経審を受ける場合と比較して、評点に直接影響を与えることがないため、工事種別の細分化や細かい金額調整に過度に神経質になる必要はありません。しかし、工事の実績を正確に反映させることは、今後の許可更新や他の申請においても重要であるため、しっかりとした記載を心掛けましょう。

4.2 工事経歴書の提出タイミング

経審を受けない場合でも、工事経歴書は許可更新時や変更届の提出時に必要となることがあります。特に、許可を受けてから一定期間が経過した際や、許可更新時には、直近の工事経歴を記載した経歴書の提出が求められる場合があります。このため、経審を受けない場合でも、工事経歴書の作成を怠らないようにしましょう。

5. まとめ

工事経歴書は、建設業許可を申請する際に非常に重要な書類であり、その正確さと整合性が求められます。経審を受ける場合はもちろん、受けない場合でも、工事経歴書の作成は慎重に行う必要があります。特に、他の書類との整合性や工事種別の選定には細心の注意を払い、正確な情報を反映させることが重要です。今後の許可申請や更新に備え、日頃から工事経歴を正確に記録し、適切なタイミングで経歴書を更新しておくことを心掛けましょう。

このように、工事経歴書の作成には一定の注意が必要ですが、しっかりとした準備と確認を行うことで、スムーズに許可を取得し、事業を継続することが可能となります。

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