短期ビザでは芸能活動はできません、興行ビザの取得のポイントについて

興行ビザとは

「興行ビザ」とは、外国人が日本で演劇、演芸、演奏、スポーツなどの興行活動や芸能活動を行うために必要なビザです。特定の職業や活動に従事する際、原則として就労ビザが必要であり、その一環として興行ビザが存在します。

このビザは、日本での文化交流を促進し、国際理解を深め、日本の文化やスポーツの発展にも寄与することを目的としています。興行ビザは「エンターテイメントビザ」や「芸能ビザ」とも呼ばれ、海外から来日する芸能人、スポーツ選手、ミュージシャン、俳優などが多く取得しています。

興行ビザに該当する職種

興行ビザは、さまざまな職業や活動に対応しています。主に以下の職種が該当します。

・ミュージシャン:コンサートやライブハウスでの演奏を行うミュージシャン

・俳優・モデル:映画やドラマ、ファッションショーに出演する俳優やモデル

・演奏家・オーケストラ:プロの演奏家やオーケストラ団体も対象です。

・プロスポーツ選手: サッカー選手や格闘家、eスポーツ選手なども興行ビザの対象となります。

・舞台スタッフやマネージャー:舞台の照明係、マネージャー、サーカスの動物飼育係など、出演者の補助をする職種も該当します。

このように、興行ビザは非常に幅広い職種や活動に対応しており、日本で文化的な交流や興行を通じた活動を行うために必要不可欠なビザです。

興行ビザの3つのカテゴリー

興行ビザは活動内容に応じて3つのカテゴリーに分かれており、それぞれ取得要件や必要書類が異なります。

興行ビザ1号

演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏などの興行活動を行う場合に該当します。具体的には、ライブハウスやクラブ、テーマパークでのパフォーマンス、大規模なコンサートなどが含まれます。飲食の提供を伴う施設で行われる活動も、条件によってはこのカテゴリーに該当します。

興行ビザ2号

プロスポーツや格闘技の大会、サーカスが該当します。選手のコーチやトレーナー、監督などのサポートスタッフも興行ビザ2号に分類されます。

興行ビザ3号

ファッションショーや映画、テレビ出演などの芸能活動が該当します。興行の形式で行われない場合でも、芸能活動として認められます。興行ビザ1号・2号と異なり、収益を目的とした活動が必須ではありません。

興行ビザを取得するための要件

興行ビザを取得するためには、各カテゴリーごとに異なる要件が定められています。特に2023年8月の法改正により、興行ビザ1号の取得要件が大幅に変更されました。

興行ビザ1号の要件

興行ビザ1号は、特定の条件に従って細かく分類されます。主に以下の3つのケースに分けられます。

(1)適正に実施している招へい機関が受け入れる場合

過去に適正に興行活動を行った実績がある招へい機関が外国人を受け入れる場合です。この場合、以下の条件を満たす必要があります。

・外国人が3年以上の経験を有する経営者や管理者のもとで活動を行うこと。

・招へい機関が人身取引や不法就労などの違法行為を行っていないこと。

・過去3年間に契約に基づく報酬を全額支払った実績があること。

(2)新たに受け入れる場合でも問題が少ないとされる場合

初めて外国人を招へいする場合でも、問題が生じる可能性が少ないと認められる場合には、興行ビザ1号が発給されます。このケースでは、主催者が公共団体や特殊法人、観光促進を目的とする大規模施設などで行われる興行活動が対象です。

(3)それ以外の演劇等の興行活動

新規の招へいで、上記の条件に該当しない場合には、さらに厳しい要件が課されます。たとえば、申請人は外国で2年以上の興行経験があることが求められます。また、契約に基づく報酬額も月額20万円以上である必要があります。

興行ビザ2号の要件

興行ビザ2号は、主にプロスポーツや格闘技の大会などに従事する場合に発給されます。報酬の額は、日本人が従事する場合と同等以上であることが必要です。

興行ビザ3号の要件

興行ビザ3号は、商業目的の宣伝活動や映画、テレビ番組への出演など、エンターテイメント関連の活動が対象です。こちらも、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが求められます。

興行ビザを取得するまでの流れ

興行ビザを取得する手順は、以下の流れに従って進められます。

  1. 事前準備: 主催者や施設の選定、来日スケジュールの調整、出演契約の締結
  2. 申請書類の準備: 必要書類の収集と作成
  3. 在留資格認定証明書の申請: 出入国在留管理局にて申請
  4. 結果通知: 在留資格認定証明書(COE)が発行されます。
  5. 査証申請: 在外公館にて査証申請
  6. 来日: 上陸審査後、在留カードが交付されます。

興行ビザの必要書類

興行ビザの申請には、各カテゴリーに応じて異なる書類が必要です。以下に興行ビザ1号の主な必要書類を紹介します。

・在留資格認定証明書交付申請書

・申請人の経歴書

・契約機関の概要を明らかにする資料(登記事項証明書や決算書の写し)

・興行を行う施設の概要を明らかにする資料(施設の図面や営業許可証の写し)

・契約書の写し

・申請人の活動内容を証明する文書(雇用契約書や出演承諾書の写し)

これらの書類を正確に準備することが、スムーズなビザ申請の鍵となります。

興行ビザのポイントのまとめ

興行ビザは、日本でエンターテイメントやスポーツなどの興行活動を行う外国人にとって必要不可欠なビザです。カテゴリーごとに異なる要件や手続きが求められますが、特に興行ビザ1号は2023年の法改正により取得要件が厳しくなりました。

適切な招へい機関の選定や、申請書類の準備を怠らないようにし、外国人が日本で安心して活動できる環境を整えることが重要です。興行ビザの取得には、入念な準備と適切な手続きが必要ですが、それをクリアすれば、日本での文化交流や国際的な活動が円滑に進むことでしょう。

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