沖縄県や東京都で建築一式工事を取得するための5つの要件について

建築一式工事は、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と定義されています。これは、一つのプロジェクト全体を管理し、建物の新築や増改築を総合的に取りまとめる責任を負うものです。特に東京都の建設業許可の手引きでは、「建築確認を必要とする新築及び増改築」に該当する工事が建築一式工事とされています。

しかし、建築一式工事の許可を持っているからといって、すべての建築関連の工事を請け負えるわけではありません。特に、500万円以上の内装工事や専門工事(内装仕上工事、電気工事、管工事など)は、別途その工事の専用許可が必要となります。これを理解せずに誤解してしまうケースがあるため、建設業を営む際には、どの許可が必要なのかをしっかり確認することが重要です。

常勤役員等(経営業務管理責任者)の要件

建設業を営む企業にとって、常勤役員等、つまり経営業務管理責任者の存在は必須です。この役職は、企業の建設業務全体を管理し、適切な運営を行う責任者です。法人の場合は役員が、個人事業主の場合は本人または登記された支配人がこの役割を担います。

具体的な要件としては、以下の3つの経験のいずれかを満たす必要があります。

1.5年以上の経営業務管理責任者としての経験
建設業務全体の運営を管理する責任者としての実務経験が5年以上あることが必要です。

2.5年以上の経営業務管理責任者に準ずる地位での経験
経営業務管理責任者を補佐する立場での経験が5年以上ある場合も要件を満たします。

3.6年以上の補佐経験
経営業務管理責任者に準ずる地位として6年以上補佐した経験が必要です。

このように、建築一式工事に限らず、建設業界での経験が求められます。

常勤役員等の経験証明

常勤役員等としての経験を証明するためには、法人の場合、登記事項証明書や建設業許可の通知書を通じて役職とその期間を証明することが求められます。一方、個人事業主の場合は、確定申告書や工事の請負契約書などで実務の証明を行います。

専任技術者の要件と役割

専任技術者とは、建設業許可を受けるために必要な技術的責任者です。建築工事業においては、専任技術者として認められるための資格や経験が求められます。専任技術者になるための資格要件は、以下のいずれかを満たすことが必要です:

・一級建築士

・二級建築士

・一級建築施工管理技士

・二級建築施工管理技士(建築)

これらの資格を持っていない場合でも、建築一式工事に関する10年以上の実務経験があれば、実務経験を証明することで専任技術者として認められることがあります。

実務経験の短縮要件

また、建築学科や都市工学を専攻した場合、実務経験年数は短縮されます。例えば、建築学科を卒業した大学生であれば3年、高校卒業生であれば5年の実務経験で専任技術者になることが可能です。

専任技術者の常勤性

専任技術者は、許可を受けようとする営業所に常勤している必要があります。常勤性は、健康保険証や住民税特別徴収税額決定通知書などの書類によって証明されます。これにより、技術者が実際にその営業所で働いていることが確認され、許可が下ります。

社会保険の要件

建設業許可を取得するためには、社会保険の加入が必要です。法人の場合、社長1名の会社でも健康保険と厚生年金の加入が義務付けられています。個人事業の場合、常勤従業員が5名以上であれば、社会保険への加入が必要です。

また、雇用保険については、従業員が1名でもいる場合には加入が必要となります。社会保険の適切な加入状況は、建設業許可申請における必須要件の一つです。

財産的基礎の要件

建設業許可を受けるためには、請負契約を履行するに足る財産的基礎があることを証明する必要があります。一般建設業許可の場合、直近の決算で純資産が500万円以上であることが求められます。純資産が500万円未満の場合でも、500万円以上の預金残高証明書を提出すれば、財産的基礎を満たすことが可能です。

また、特定建設業許可では、より厳しい財産的基礎要件が設定されています。資本金が2,000万円以上で、さらに欠損比率や流動比率、純資産の額についても厳しい基準が設けられています。これにより、大規模な建設工事を請け負うための安定した財務基盤が確認されます。

欠格要件とその重要性

最後に、建設業許可には欠格要件があります。これまで説明した要件をすべて満たしていても、欠格要件に一つでも該当すると、建設業許可は取得できません。欠格要件には、法人や個人の過去の法令違反や刑事罰などが含まれますので、申請時には十分な注意が必要です。

まとめ

建築一式工事の建設業許可を取得するためには、経営業務管理責任者や専任技術者、財産的基礎、社会保険の加入状況など、さまざまな要件を満たす必要があります。特に、誤解されやすい点として、建築一式工事の許可があってもすべての工事を請け負えるわけではなく、専門工事ごとに必要な許可がある点に注意が必要です。

これらの要件をしっかり理解し、適切な手続きを踏むことで、円滑な許可取得が可能となります。

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