建設業許可の区分についてわかりやすく解説 一般/特定・大臣許可/知事許可の違いとは

今回は沖縄県那覇市や東京都江東区で建設業に携わる方々に向けて、「建設業許可の区分」について詳しく解説します。特定建設業と一般建設業、大臣許可と知事許可の違いは、建設業許可を考えるうえで非常に重要です。特に、複数の許可区分が存在する中で、自社にどの許可が適しているのかを理解することで、建設業の事業展開がスムーズに進むでしょう。

この記事では、「どの区分の建設業許可を取得すべきか?」についてお話しします。

建設業許可の区分とは

まず、建設業許可には大きく分けて2つの区分があります。

  • 特定建設業と一般建設業
  • 大臣許可と知事許可

これらは、各々異なる目的で設けられており、簡単に言えば、特定建設業と一般建設業の違いは「元請けとしての発注額」によるもの、大臣許可と知事許可の違いは「営業所がどこにあるか」によるものです。

1. 特定建設業と一般建設業の違い

特定建設業と一般建設業の違いを理解するには、元請業者と下請業者の関係性がポイントになります。これらの区分は、元請業者が発注する下請け工事の金額によって定められています。

  • 特定建設業:元請業者が、建設工事を下請業者に発注する際に、発注額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる場合に必要な許可です。大規模な工事の発注が多い場合に必要になります。
  • 一般建設業:発注額が上記の金額以下であれば、一般建設業の許可で対応可能です。

たとえば、10億円の工事を元請けで請け負う場合でも、すべてを自社で施工し、下請けに4,500万円以上の発注をしなければ、一般建設業の許可だけで対応できます。一方で、1億円程度の工事であっても、下請け業者に4,500万円以上を発注するのであれば特定建設業の許可が必要です。

特定建設業許可が必要な場合

那覇市や江東区で、将来的に大規模な工事を元請けとして行い、下請け業者を複数抱えて進める計画がある場合、特定建設業の許可を取るのが望ましいでしょう。特に都心や人口が集中している地域では、再開発や新規事業も多いため、将来的に特定建設業の許可が有利になる可能性があります。

一方で、規模の小さい工事や下請け主体の工事が多い場合は、一般建設業の許可を取得することで十分です。したがって、許可を選ぶ際には、会社の事業展開や受注する工事の規模と内容を十分に検討することが大切です。

2. 大臣許可と知事許可の違い

次に、大臣許可と知事許可の違いについて見ていきましょう。これは、営業所が所在する地域による許可区分であり、次の条件に従って許可が必要です。

  • 大臣許可:営業所が2つ以上の都道府県にある場合に必要な許可。
  • 知事許可:営業所が1つの都道府県にのみある場合に必要な許可。

許可申請の例

例えば、沖縄県那覇市と東京都江東区の2つの都道府県に営業所がある場合、大臣許可を取得する必要があります。一方で、那覇市だけに営業所がある場合は、沖縄県知事の許可のみで事業を進めることができます。

営業所の定義

ここで、建設業法における「営業所」の定義を押さえておきましょう。「営業所」とは、見積もり、入札、請負契約といった建設工事に関する実質的な業務を常時行う事務所を指します。単なる連絡所や置き場、工事事務所、あるいは物販のみを行う事務所は営業所に該当しません。また、海外にある支店も営業所には含まれないため、許可区分に影響はありません。

営業所の数とその場所は、許可取得の際に重要な判断要素となります。那覇市や江東区で営業拠点を展開する際には、この点を把握して適切な許可申請を行うことが大切です。

3. 許可業種は同じ区分でないと取得できない

複数の建設業許可区分がある場合でも、1つの業種に対して、異なる区分の許可を取得することはできません。

例えば、次のような許可はできません。

  • 一つの業種に対して「大臣許可」の「特定建設業」と「一般建設業」の両方を取得する
  • 一つの業種について、一部を大臣許可、他を知事許可で取得する

許可区分の一例

建設業の許可には次のような区分があり、業種ごとに同一の区分で取得する必要があります。

  1. 大臣許可の特定建設業
  2. 大臣許可の一般建設業
  3. 知事許可の特定建設業
  4. 知事許可の一般建設業

これらの区分を元に、自社の状況と照らし合わせてどの許可を取得するかを検討することが求められます。

許可選択のポイント|自社に合った許可を選ぼう

以上の区分を基に、自社に適した許可の選び方についてまとめます。

特定建設業の取得を検討すべき場合

元請業者として大規模な工事を行う予定がある場合や、将来的に元請として多額の下請発注を見込む場合には、特定建設業の取得を検討することが望ましいです。沖縄県那覇市や東京都江東区といった都市部では、再開発や大規模工事の依頼が増加する傾向があります。元請けで発注を受ける場合に備え、特定建設業の許可を持つことで受注機会が広がるでしょう。

大臣許可の取得を検討すべき場合

営業所を複数の都道府県に展開し、広域での営業を目指す場合は、大臣許可を取得する必要があります。例えば、那覇市と江東区の両方に拠点を置いて事業を進める際には、大臣許可の取得が不可欠です。

大臣許可の取得には、他の都道府県での事業展開をスムーズに進めるためのメリットがあります。全国的に事業を展開したい場合は、大臣許可を取得しておくと今後の展開に役立つでしょう。

許可申請の流れと手続き

建設業許可の申請手続きには、いくつかのステップが必要です。特に、特定建設業の取得には、要件が厳しく、経営事項審査や財務基準の達成などが求められます。また、大臣許可の場合、営業所が複数県に及ぶことから、各都道府県での証明書類の準備も必要です。

目次