国際結婚だけじゃない!「日本人の配偶者等」ビザが適用されるケースとは?

外国人が日本に滞在するためには「在留資格(ビザ)」を取得する必要があります。その中で、日本人と結婚した外国人が取得するのが「日本人の配偶者等」という在留資格です。しかし、この名称には「等」がついていることから分かるように、対象となるのは配偶者だけではありません。

「日本人の配偶者等」には、日本人と結婚した外国人だけでなく、日本人の子どもや特別養子も含まれます。この記事では、この在留資格の対象者や申請時のポイントを詳しく解説します。

1. 「日本人の配偶者等」の対象者とは?

「日本人の配偶者等」の在留資格が認められるのは、次の3つのケースです。

  1. 日本人の配偶者(結婚相手)
  2. 日本人の実子(生まれた子ども)
  3. 日本人の特別養子

それぞれのケースについて詳しく説明します。

1-1. 日本人の配偶者(結婚相手)

結婚していれば必ず在留資格がもらえるわけではない!

「日本人の配偶者等」という在留資格を取得するためには、単に結婚しているだけでは不十分です。法的に婚姻関係が成立していることに加えて、「夫婦の実体」があることが求められます。

夫婦の実体とは?

「夫婦の実体がある」とは、以下のような条件を満たしていることを意味します。

  • 同居している(やむを得ない事情で別居している場合は理由を説明)
  • お互いに経済的・精神的に支え合っている
  • 夫婦としての生活実態がある(家族や知人も婚姻関係を認識している)

このような実態がなければ、「偽装結婚」とみなされる可能性があります。

偽装結婚とは?

偽装結婚とは、法律上は婚姻関係にあるものの、実際には夫婦として生活を共にしていないケースを指します。これは在留資格の不正取得につながるため、入管(出入国在留管理庁)は厳しく審査します。

偽装結婚と疑われないために必要な証拠
在留資格の申請時には、結婚が真実であることを証明するために、以下のような資料を提出することが求められます。

  • 結婚式の写真
  • 夫婦のLINEやメールのやり取り(適切な範囲で)
  • 夫婦の共同名義の銀行口座、賃貸契約書
  • 家族や友人との写真、証言書

これらの資料をもとに、結婚の実態があることを入管に説明することが重要です。

1-2. 日本人の実子(生まれた子ども)

「日本人の配偶者等」の在留資格は、日本人と外国人の間に生まれた子ども(実子)にも適用されます。ここでのポイントは、結婚していなくてもOK という点です。

日本人と外国人が結婚していなくても、日本人の子どもであれば申請できる!

つまり、日本人の父または母が外国人の子どもを認知していれば、結婚していなくても「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できます。

必要な書類

  • 子どもの出生証明書
  • 日本人の親の戸籍謄本(認知の記載があるもの)
  • 日本人の親の身分証明書
  • 家族関係を示す写真や書類

この在留資格を取得すると、日本での長期滞在が可能になり、将来的に永住権や日本国籍の取得も検討できます。

1-3. 日本人の特別養子

通常の養子縁組では「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することはできません。しかし、特別養子 であれば可能です。

特別養子とは?
特別養子とは、法律上、養親(日本人)との親子関係が実の親子と同じように扱われる養子のことです。特別養子縁組には以下の条件があります。

  • 養子が6歳未満 であること(特別な事情があれば8歳未満でも可能)
  • 家庭裁判所の許可を得ていること
  • 生みの親との法的な親子関係が消滅すること

特別養子として日本人と法的に親子関係が成立すると、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できます。

2. 「日本人の配偶者等」の在留資格を申請する際のポイント

「日本人の配偶者等」の在留資格を取得するためには、しっかりとした準備が必要です。特に、審査で重視されるポイント を押さえておきましょう。

2-1. 夫婦の実体証明(配偶者の場合)

先述のとおり、夫婦関係が本物であることを証明する必要があります。特に、次のような点をしっかり説明することが重要です。

  • どこで、どのように出会ったか?
  • 交際の経緯や結婚を決めた理由
  • 夫婦間のやり取り(連絡手段や頻度)
  • 家族や友人の認識

これらを詳細に説明し、証拠を添付するとスムーズな申請につながります。

2-2. 生活基盤の安定性

日本で生活を続けるために、安定した収入や住居があることを示す必要があります。

  • 日本人配偶者の収入証明(源泉徴収票、納税証明書)
  • 住居の契約書(持ち家の場合は登記簿謄本)

経済的に安定していることを示すことで、審査の印象が良くなります。

2-3. 過去の在留履歴(不法滞在がないか)

外国人配偶者の過去の在留履歴も審査の対象になります。オーバーステイや不法就労の履歴があると、審査が厳しくなるため、事前に行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留資格は、日本人と結婚した外国人だけでなく、日本人の実子や特別養子も対象になります。ただし、単に結婚しているだけでは取得できず、夫婦の実体や生活の安定性を証明する必要があります。

申請の際には、多くの証明書類が必要になるため、専門家に相談しながら準備を進めるのがスムーズな方法です。在留資格取得に向けて、しっかりと準備を整えましょう。

目次