知らないとトラブルに!外国人配偶者の母国への婚姻届はどうすればいい?

1. 日本での婚姻手続きが完了したら…それで終わりではない!

国際結婚をした日本人と外国人配偶者が、日本の役所に婚姻届を提出し、無事に受理されると、日本では正式に結婚が成立します。
1週間程度で日本人の戸籍謄本に外国人配偶者の名前が記載されるため、これで結婚手続きは完了したと思うかもしれません。

しかし、ここで注意が必要です。
日本の役所に婚姻届を提出しても、その情報は外国人配偶者の本国には自動的に伝わりません。

つまり、日本では「既婚者」でも、外国人配偶者の母国では「独身」のままになっている可能性があります。
これを放置すると、将来的にビザの取得や相続手続きなどで問題が生じることがあるため、本国への届出を忘れずに行いましょう。

2. 外国人配偶者の母国への婚姻届出が必要な理由

外国人配偶者の母国へ婚姻の届出を行う理由として、次のような点が挙げられます。

・外国人配偶者の母国においても正式に婚姻関係を成立させるため
・配偶者の国でビザや永住権、国籍取得などの手続きが必要な場合に影響があるため
・外国人配偶者の財産相続や遺産分割の際に婚姻関係を証明する必要があるため
・子どもが生まれた際、両親の婚姻が外国人配偶者の母国でも正式に認められている必要がある場合があるため

なお、中国やイギリスなど、日本で婚姻届を提出した場合、本国への届出が不要な国もあります。しかし、多くの国では届出が必要になるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

3. 本国への婚姻届の提出方法とは?

外国人配偶者の母国に婚姻を届け出るには、主に二つの方法があります。

日本にある大使館(領事館)で届出をする

多くの国では、日本国内にある本国の大使館や領事館で婚姻届を受け付けています。
そのため、まずは配偶者の母国の大使館や領事館の公式ウェブサイトを確認し、手続きの詳細を調べましょう。

また、不明点があれば、直接大使館に電話で問い合わせることをおすすめします。

外国人配偶者の母国の役所で届出をする

一部の国では、日本の大使館ではなく、配偶者の本国の役所(市役所や区役所など)に直接婚姻届を提出する必要があります。
この場合、日本国内で準備できる書類を整えたうえで、外国人配偶者が母国に一時帰国し、役所で手続きを行うことになります。

どちらの方法を選ぶかは国によって異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。

4. 本国への届出に必要な書類とは?

婚姻届の提出に必要な書類は、外国人配偶者の母国によって異なりますが、一般的には次のような書類が求められます。

・婚姻の記載がある戸籍謄本(外国人配偶者の名前が記載されたもの)
・婚姻届受理証明書(婚姻届を提出した市区町村役場で発行)
・婚姻届の翻訳文(母国語に翻訳したもの)
・外国人配偶者のパスポートやIDカードのコピー
・出生証明書や独身証明書(本国の役所で発行)

また、国によっては、以下の手続きが必要になる場合があります。

・外務省の「アポスティーユ認証」または「公印確認」
・外国大使館(領事館)による認証

例えば、一部の国では、日本の市役所が発行した戸籍謄本や婚姻届受理証明書を、そのまま提出しても受理されません。
そのため、外務省で「公印確認」または「アポスティーユ認証」を受ける必要があります。

5. 外務省での「公印確認」または「アポスティーユ認証」とは?

外務省で行う認証手続きには、「公印確認」と「アポスティーユ認証」の二種類があります。
どちらが必要かは、配偶者の母国が「ハーグ条約加盟国」かどうかによって変わります。

公印確認(ハーグ条約非加盟国向け)

日本の役所が発行した公文書(戸籍謄本や婚姻届受理証明書など)の印鑑が本物であることを外務省が証明する手続きです。
その後、本国の大使館でさらに認証を受ける必要があります。

アポスティーユ認証(ハーグ条約加盟国向け)

「アポスティーユ認証」は、外務省の証明だけで本国の大使館での追加認証が不要になる便利な制度です。
ハーグ条約加盟国の一覧は外務省の公式サイトで確認できます。

申請先は、外務省領事局(東京または大阪)で、申請方法には直接申請と郵送申請があります。
処理には数日から一週間程度かかるため、余裕を持って手続きを進めましょう。

6. まとめ 国際結婚後の本国への届出は忘れずに!

日本で婚姻届が受理されたとしても、それだけでは外国人配偶者の母国では結婚が認められない場合がほとんどです。
本国への婚姻届を怠ると、次のようなトラブルが発生する可能性があります。

・本国で独身扱いのままになり、将来の手続きで問題が生じる
・外国人配偶者のビザ申請や国籍取得がスムーズに進まない
・相続手続きや子どもの国籍取得に支障が出る

したがって、結婚後はできるだけ早めに本国の大使館や領事館へ届出を行いましょう。

また、本国の手続きは国ごとに異なるため、事前にしっかりと情報収集を行うことが重要です。
「何を準備すればいいのか分からない」「手続きが複雑で不安…」という方は、行政書士に相談するのも一つの方法です。

国際結婚の婚姻届提出や在留資格申請、本国届出の手続きについてお困りの方は、ぜひご相談ください。

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