
「日本人の配偶者等」の在留資格を取得するためには、日本での安定した生活基盤があることを証明しなければなりません。入国管理局は、日本人配偶者との結婚が「偽装結婚」ではなく、実態のある婚姻であるかを審査すると同時に、申請者の経済的基盤が安定しているかを確認します。
このため、納税証明書を通じて以下の点がチェックされます。
- 安定した収入があるかどうか
- 日本での税金を適切に納めているか
- 配偶者としての扶養能力があるか
納税証明書は、日本において「安定した経済状況にある」ことを証明する重要な書類なのです。
納税証明書が取得できないケースとその理由
納税証明書が発行されない、または提出できないケースには、以下のような理由が考えられます。
1. 就職したばかりで前年の納税実績がない場合
就職したばかりの場合、前年の所得がゼロのため、住民税の課税証明書(納税証明書)を取得できないことがあります。
2. 無職期間が長かった場合
失業中で収入がなかった場合も、同様に納税証明書が発行されません。この場合、過去の勤務先の退職時期や、無職期間中の生活費の出所を説明する必要があります。
3. 海外に長期間住んでいた場合
結婚前に海外に住んでいたため、日本での納税履歴がないケースもあります。日本で収入がなければ、当然ながら納税証明書は取得できません。
4. 配偶者(日本人)が納税していない場合
日本人配偶者が無職または非課税である場合も、納税証明書が取得できないことがあります。この場合、夫婦としての生活基盤をどのように維持するのかを説明しなければなりません。
納税証明書が提出できない場合の対応策
納税証明書が提出できない場合、そのままでは申請が受理されません。そこで、以下の対応策を検討しましょう。
1. 「納税証明書が提出できない理由書」を作成する
納税証明書が取得できない理由を明確に説明する文書を作成し、申請時に提出します。理由書には、具体的な状況や経済的な安定性を証明するための代替資料を添付すると効果的です。
理由書に記載すべき内容
- 納税証明書を取得できない具体的な理由
- 収入がない期間の生活費の出所(貯金、家族からの援助など)
- これからの生活費の計画(就職予定、ビザ取得後の仕事の予定など)
2. 収入を証明できる他の書類を提出する
納税証明書の代わりに、収入があることを証明する以下の書類を提出することも可能です。
代替書類の例
- 給与明細(直近3か月分)
- 雇用契約書(勤務先が発行したもの)
- 銀行口座の残高証明書(一定額の貯金があることを示す)
- 不動産の所有証明書(持ち家がある場合)
- 海外の収入証明書(海外勤務歴がある場合)
3. 身元保証人を立てる
申請者または日本人配偶者に十分な収入がない場合、親族に身元保証人になってもらうことが有効です。
身元保証人に求められる条件
- 日本国内に安定した収入がある
- 納税証明書を提出できる
- 申請者の生活費を援助できる立場にある
身元保証人がいる場合、入国管理局に提出する「身元保証書」に保証人の署名・押印をしてもらいます。また、保証人の納税証明書や収入証明書も添付すると、申請の信頼性が増します。
4. 日本人配偶者の収入を証明する
申請者本人が収入を証明できなくても、日本人配偶者が安定した収入を得ている場合、その証明を提出することで対応できる可能性があります。
提出できる書類
- 日本人配偶者の納税証明書
- 日本人配偶者の給与明細や雇用契約書
- 会社経営者の場合は確定申告書の写し
まとめ
「日本人の配偶者等」の在留資格を申請する際に納税証明書の提出が求められますが、何らかの事情で取得できない場合もあります。そのような場合は、以下の対策を講じることで対応可能です。
- 納税証明書が取得できない理由書を作成する
- 給与明細や銀行残高証明書などの代替書類を提出する
- 親族に身元保証人になってもらう
- 日本人配偶者の収入証明を提出する
納税証明書が提出できないからといって、必ずしも申請が不許可になるわけではありません。適切な対応を取ることで、在留資格の取得は十分可能です。
入国管理局の審査では「日本で安定した婚姻生活が継続できるかどうか」が重要視されます。したがって、経済的基盤がしっかりしていることを証明できるように準備を進めることが大切です。
申請に不安がある場合は、行政書士に相談するのも一つの方法です。個々の状況に応じた適切なアドバイスを受けることで、スムーズに在留資格を取得できる可能性が高まります。