相続開始後にすべき10のこと 初めてでも安心なチェックリスト付き

大切なご家族が亡くなった後、悲しみの中でも避けて通れないのが「相続手続」です。
相続は、一度しか経験しない方がほとんどですので、「何を、いつまでに、どうすればいいの?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続が開始された後にすべき10のことを、時系列に沿って整理しました。
江東区・那覇市で相続手続に取りかかる方にも役立つよう、実務に基づいた内容でまとめています。


目次

1.相続開始後にすべき10のこと|時系列で解説

【ステップ1】死亡届の提出(7日以内)

被相続人(亡くなった方)が亡くなられた場合、まず必要なのが「死亡届」の提出です。

  • 提出先:亡くなった方の住所地、死亡地、届出人の所在地の市区町村役所
  • 提出者:親族・同居人・家主など
  • 提出期限:死亡の事実を知った日から7日以内

江東区の場合は江東区役所、那覇市の場合は那覇市役所の市民課で受け付けています。


【ステップ2】遺言書の有無を確認

相続手続を進める上で、「遺言書があるかどうか」は非常に重要なポイントです。

  • 遺言書があれば、基本的にその内容に従って遺産分割が行われます。
  • 自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所での「検認手続」が必要です。

※公正証書遺言であれば、検認は不要です。


【ステップ3】相続人の調査・確定

遺言書がなければ、法律に従って「法定相続人」が誰なのかを特定しなければなりません。

このためには、次のような戸籍の収集が必要になります。

  • 被相続人の「出生から死亡までのすべての戸籍」
  • 相続人全員の「現在の戸籍」

本籍地が複数にわたる場合、各自治体(例:那覇市・江東区など)から郵送で取り寄せる必要があります。


【ステップ4】財産と債務の調査

プラスの財産(預貯金・不動産・株式など)だけでなく、マイナスの財産(借金・未払金など)も含めて、被相続人の財産状況を正確に把握する必要があります。

調査する主な対象

  • 銀行口座(通帳・カードなど)
  • 不動産(固定資産税通知書・登記事項証明書)
  • 借金(ローン・クレジットなど)
  • 未払いの税金や公共料金

相続放棄や限定承認を検討する場合、このステップが特に重要です。


【ステップ5】相続方法の選択(3か月以内)

被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、相続人は次の3つから相続方法を選ぶ必要があります。

  1. 単純承認:すべての財産を無条件で引き継ぐ
  2. 限定承認:プラスの財産の範囲でマイナスの財産も相続(家庭裁判所への申立てが必要)
  3. 相続放棄:一切の相続を放棄(家庭裁判所への申立てが必要)

万が一、財産の調査が間に合わない場合は、「熟慮期間伸長の申立て」を家庭裁判所に行うことで、判断期限を延ばすことができます。


【ステップ6】遺産分割協議と協議書の作成

遺言書がない場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、遺産の分け方を話し合います。話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として文書にまとめます。

協議書には次のような情報を明記します。

  • 被相続人の氏名・死亡日
  • 相続人の氏名・続柄
  • 相続財産の内容
  • 各人の取得割合
  • 相続人全員の署名・実印押印

協議書は、不動産登記や金融機関手続に必要なため、作成ミスに注意が必要です。


【ステップ7】各種名義変更手続

遺産の分配が決まった後は、財産ごとに必要な名義変更を行います。

主な手続内容

  • 不動産:法務局での相続登記
  • 預貯金:銀行での相続手続(必要書類を金融機関に確認)
  • 株式・証券:証券会社での名義変更
  • 車両:運輸支局での名義変更

名義変更には戸籍・印鑑証明・遺産分割協議書などが必要になるため、あらかじめセットで準備しておきましょう。


【ステップ8】相続税の申告(10か月以内)

被相続人の死亡を知った日から10か月以内に、相続税の申告と納税を行う必要があります(基礎控除額を超える場合)。

【基礎控除の計算式】

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例:法定相続人が3人の場合
→ 3,000万円 +(600万円×3)= 4,800万円まで非課税

※相続税の申告が必要かどうかの判断が難しい場合は、税理士に確認することをおすすめします。


【ステップ9】公共料金・契約の名義変更や解約

意外と忘れがちなのが、被相続人名義の公共料金やサービス契約の処理です。

確認・手続が必要な項目:

  • 電気・ガス・水道
  • 携帯電話・固定電話
  • インターネット契約
  • 各種サブスクリプション(Amazon、Netflix等)
  • クレジットカードの解約

手続を怠ると、利用料金が発生し続ける可能性があるため、早めに対応しましょう。


【ステップ10】年金・保険・給付金の手続

被相続人が受給していた年金や、加入していた保険などについても忘れず手続きを行いましょう。

【必要な主な手続】

  • 年金の停止・未支給年金の請求
     → 年金事務所に死亡届の提出と請求
  • 生命保険金の請求
     → 保険証券をもとに各保険会社に連絡
  • 高額療養費の申請・葬祭費給付
     → 市区町村の窓口に問い合わせ

2.チェックリスト 相続開始後にやるべき10のこと

Noやるべきこと期限の目安
1死亡届の提出7日以内
2遺言書の確認早期に確認
3相続人の確定(戸籍収集)できるだけ早く
4財産・負債の調査3か月以内
5相続方法の決定(放棄・限定承認)3か月以内
6遺産分割協議書の作成期限なし(ただし早めに)
7名義変更手続分割協議成立後、速やかに
8相続税申告・納税10か月以内
9各種契約・公共料金の解約順次対応
10年金・保険等の給付申請早期に確認

3. まとめ 不安なときは専門家へ相談を

相続手続は、期限・書類・手続先が多く、一つ一つ丁寧に進める必要がある作業です。
特に、複数の相続人が遠方に住んでいたり、被相続人の財産が多岐にわたる場合などは、個人での対応が難しい場面もあるかと思います。

江東区や那覇市でも、地域ごとに手続の窓口や対応方法が異なります。
一つでも不安なことがあれば、行政書士などの専門家に相談することで、手続の負担を大幅に軽減できます。

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