
建設業許可を申請する際に、多くの事業者が悩むポイントの一つが「常勤性の確認資料」です。
建設業許可に必要となる 経営業務の管理責任者・専任技術者・令3条の使用人 は、いずれも「営業所に常勤していること」が求められます。ここでいう「常勤」とは、単に在籍しているだけではなく、実際にその営業所に勤務し、日々業務を行っている状態を指します。
本記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市で建設業許可を検討している方々に向けて、常勤性確認資料の具体的な種類や注意点を、できるだけわかりやすく解説していきます。
1. なぜ「常勤性の確認」が必要なのか
建設業許可制度の目的は、建設業者が一定の技術力・経営能力を備えているかを確認し、公共の安全を守ることにあります。そのため、名義だけの責任者や、他社との兼任で不在がちな責任者ではなく、実際にその営業所に常勤して経営や工事管理に携わっている人物であることを確認しなければなりません。
もし常勤性が確認できなければ、要件を満たさないとして許可が下りない可能性があります。そのため、「常勤していること」を客観的に示す資料 の提出が不可欠となります。
2. 常勤性確認資料は大きく2種類に分けられる
常勤性を証明する資料は、次の2つの観点から準備します。
- 自社に常勤であることを確認するための資料
- 住所を確認するための資料
つまり、「どの会社に属しているか」「その会社で生計を立てているか」「実際にその営業所に通勤可能か」という点を明確にする必要があるのです。
3. 自社に常勤していることを証明する資料
法人か個人事業かによって提出資料は異なりますが、一般的に以下のいずれかを提出するケースが多いです。
(1)健康保険・厚生年金関連の資料
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書のコピー
- 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認通知書のコピー
法人の常勤役員や社員であれば、社会保険に加入しているのが通常です。社会保険の加入状況を示す資料に本人の氏名が記載されていれば、その会社に常勤していることが確認できます。
(2)住民税関連の資料
- 住民税特別徴収義務者指定及び税額通知の写し
給与所得者であれば、勤務先を通じて住民税が特別徴収されています。そのため、会社から発行される住民税の通知書に氏名があることで、常勤性を裏付けることが可能です。
(3)個人事業の場合
- 確定申告書の表紙および専従者一覧表
個人事業主やその専従者(家族従業員)である場合は、確定申告書と専従者給与に関する記載で常勤性を確認します。
4. 注意すべきポイント
提出資料が整っていても、審査段階で「本当に常勤しているのか?」と疑われるケースがあります。その際に注意すべき点を紹介します。
(1)標準報酬額・住民税額が極端に少額な場合
常勤しているのであれば、原則としてその勤務先からの給与で生活しているはずです。しかし、標準報酬(社会保険料の基礎となる給与額)や住民税額があまりに少ない場合、他に主な収入源があるのではないかと疑われます。
たとえば、月数万円程度しか収入がないのに「常勤している」と申告した場合、審査で指摘を受け、追加説明資料を求められることがあります。
(2)他社との兼任の有無
特に経営業務の管理責任者は、他社との兼任は原則認められません。提出資料によって、他の会社から給与を得ていることが判明すれば、不許可のリスクがあります。
(3)役員の場合の注意点
役員であっても、実質的に会社の業務に関与していなければ「常勤」とは認められません。役員報酬の支給状況や社会保険の加入実績から、日常的に業務に携わっているかを判断されます。
5. 住所を確認するための資料
常勤性を確認する際には、その人物が実際に営業所に通勤可能な場所に居住していることも必要です。そのために以下のような資料を用意します。
- 住民票の写し
- 運転免許証のコピー
- 公共料金の領収書(本人名義・現住所が確認できるもの)
特に東京都江東区や沖縄県那覇市のように、営業所と居住地が離れている場合には、「本当に通勤可能な範囲か?」を審査官がチェックします。常勤性の根拠として、住所確認資料も併せて準備しておくと安心です。
6. 書類をそろえる際の工夫
(1)複数年分を保存しておく
建設業許可申請では、直前数か月だけでなく、過去の状況を確認されることがあります。社会保険関係や住民税関係の通知書は、最低3年分程度を保存しておくと、追加で求められたときにも対応できます。
(2)コピーを取って整理する
原本提出ではなくコピーで済む場合が多いですが、審査中に差し替えを求められることもあるため、提出用と控え用に分けてコピーを取っておくと便利です。
(3)疑念を持たれそうな場合は補足資料を添付
給与額が少額など、常勤性に疑念を持たれそうな場合は、出勤簿や給与台帳、就業規則などを併せて提出するとスムーズです。
7. 江東区・那覇市での申請時のポイント
東京都江東区は都庁の厳格な審査を経て許可が出ます。提出書類の形式や内容に不備があれば補正を求められ、許可まで時間がかかる傾向があります。
一方、沖縄県那覇市の場合は県庁が窓口となり、地域事情を踏まえた柔軟な対応を受けられることもありますが、提出資料の基本要件は全国共通です。どちらの地域でも、「常勤性を客観的に証明できるか」が最大のポイントになります。
まとめ
建設業許可申請において、経営業務の管理責任者・専任技術者・令3条の使用人の「常勤性」を証明することは、最も重要な審査項目の一つです。
- 常勤性確認資料には「勤務先での在籍状況を示す資料」と「住所確認資料」の2種類がある。
- 社会保険関係や住民税関係の書類、確定申告書などが主な証明資料。
- 給与額が少額すぎる場合や他社との兼任がある場合は特に注意が必要。
- 東京都江東区・沖縄県那覇市の申請でも基本的な要件は共通しており、事前の整理が成否を分ける。
日頃から資料を整理・保存しておけば、スムーズに許可申請を進めることができます。
行政書士見山事務所は建設業許可に精通しております、ぜひお気軽にご相談下さい。