遺言書作成で遺留分トラブルを防ぐ方法について~東京都江東区・沖縄県那覇市の方へ~

目次

1 はじめに

相続の場面では「遺言書があれば安心」と思われがちですが、実際には遺言書があっても「遺留分侵害」が原因でトラブルになるケースが少なくありません。特に東京都江東区のように不動産価値が高い地域や、沖縄県那覇市のように土地が家族の思い出や生活の基盤となっている地域では、遺留分問題が深刻化することがあります。

そこで本記事では、自筆証書遺言や公正証書遺言を作成する際に、遺留分をめぐるトラブルを防ぐための具体的な工夫について詳しく解説します。

2 遺留分とは何か

遺留分とは、法定相続人に最低限保障されている「取り分」のことです。遺言によって相続人を排除したり、一部の相続人に偏った相続をさせたりした場合でも、遺留分を持つ相続人はその権利を請求できます。

遺留分を有するのは「配偶者」「子」「直系尊属(両親など)」であり、兄弟姉妹には認められていません。

たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法定相続分は配偶者2分の1、子ども2分の1(各4分の1ずつ)ですが、遺留分としてはその半分が最低保障されます。

3 遺留分を侵害した遺言書のリスク

例えば「長男に自宅不動産をすべて相続させる」と遺言に書いた場合、次男が遺留分侵害額請求を行えば、長男は現金で遺留分相当額を支払わなければなりません。

不動産しかない家庭では、現金を用意できず売却を余儀なくされるケースもあり、これが深刻なトラブルに発展する原因となります。

4 遺留分トラブルを防ぐ工夫

4-1 自筆証書遺言と公正証書遺言の選択

  • 自筆証書遺言
    自分で書ける手軽さがありますが、内容が不十分で遺留分侵害額請求を招きやすい傾向があります。法務局の保管制度を利用して形式不備を防ぐことが重要です。
  • 公正証書遺言
    公証人が内容を確認するため、遺留分を考慮したバランスの良い遺言にしやすく、安全性が高い方法です。特に江東区や那覇市で不動産を多く持つ方には推奨されます。

4-2 付言事項の活用

遺言書には「付言事項」として法的拘束力のないメッセージを残すことができます。

たとえば、
「長男には生前に事業資金の援助をしてきたため、自宅は次男に相続させることにしました」
「介護でお世話になった長女に感謝の気持ちを込めて多くを相続させます」

といった理由を記すことで、相続人間の理解を得やすくなり、遺留分請求を防ぐ抑止力になります。

4-3 代償金の準備

不動産を特定の相続人に相続させたい場合、他の相続人には「代償金」を用意しておく方法があります。

例:自宅を長男に相続させる代わりに、次男には預金300万円を代償金として渡す。

このように事前に現金を確保しておけば、遺留分侵害額請求を回避しやすくなります。生命保険を活用して現金を確保する方法も有効です。

4-4 遺留分放棄の活用

相続開始前に家庭裁判所の許可を得て「遺留分放棄」をしてもらう方法もあります。

たとえば、事業を継ぐ長男に会社や店舗を集中して相続させたい場合、次男に遺留分を放棄してもらい、その代わり生前贈与を行うという調整が考えられます。

5 実務での注意点

5-1 相続人間のバランス調整

財産が不動産に偏っている場合、現金を準備しないと遺留分問題は必ず浮上します。特に江東区や那覇市の住宅は高額になりやすいため、不動産評価を踏まえた設計が不可欠です。

5-2 遺言執行者の指定

遺言書には必ず「遺言執行者」を指定するのが望ましいです。第三者である専門家を執行者とすることで、公平な手続きが進み、相続人同士の感情的な衝突を緩和できます。

5-3 専門家への相談

法律的に有効な遺言書であっても、感情的なトラブルは避けられないことがあります。行政書士や弁護士、公証人などの専門家に事前相談することで、実情に即した相続設計が可能になります。

6 まとめ

遺言書は相続トラブルを防ぐ最良の手段ですが、遺留分を軽視すると逆に紛争を招きます。

  • 自筆証書遺言では形式の不備や遺留分軽視に注意
  • 公正証書遺言で専門家のチェックを受けると安心
  • 付言事項で理由を伝え、相続人の理解を得る
  • 代償金や生命保険で現金を確保しておく
  • 場合によっては遺留分放棄を検討する

東京都江東区や沖縄県那覇市で相続や遺言を検討されている方は、ご家族の状況に応じた「遺留分対策」をしっかり行うことが大切です。

行政書士見山事務所は終活や相続手続き、遺言作成に精通しています。お気軽にご相談下さい。

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