在留資格変更許可申請について

外国人が日本で新たに活動を行う場合、それに見合った在留資格に変更するための「在留資格変更許可申請」が必要となります。この手続きは、外国人が現在保有している在留資格から新しい活動内容に適した資格へと変更する際に求められます。新しい活動を許可なく始めると「資格外活動」となり、最悪の場合、在留資格が取り消されるリスクもあるため注意が必要です。

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許可申請の対象者

在留資格変更許可申請は、すでに日本で何らかの在留資格を得て滞在している外国人が対象です。具体的には、学校に通うための「留学」、技能を身につけるための「研修」、日本で働くための「就労系在留資格」などを保有している外国人が、新たな活動を始める際に行う申請です。たとえば、留学ビザで日本に滞在している学生が、卒業後に日本で就職しようとする場合、この手続きを通じて就労系の在留資格に変更する必要があります。

許可申請の前提条件

在留資格変更許可申請を行うためには、新しい活動の内容に応じた資格要件や基準を満たしていることが前提です。例えば、留学ビザから就労系在留資格に変更する場合、就職先企業の「登記事項証明書」や「雇用契約書」などの提出が求められます。また、新たな在留資格に応じた職務内容や資格が適切かどうかも審査されます。

資格要件が満たされていない場合、申請が不許可となる可能性があるため、事前に必要な書類をしっかりと揃えることが重要です。

在留資格変更許可の申請方法

申請できる人

在留資格関連の申請は原則として本人が行いますが、法定代理人や取次者が代わりに行うことも可能です。法定代理人とは、申請者の成年後見人や未成年の場合の親権者などを指し、取次者には行政書士や弁護士が含まれます。行政書士に依頼することで、手続きがスムーズに進むだけでなく、必要書類の不備による申請の遅延や不許可のリスクを軽減できます。

申請場所

申請は、申請者の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行います。具体的には、全国にある8つの出入国管理局、7つの支局、61の出張所のいずれかで申請を行うことになります。さらに、近年では「在留申請オンラインシステム」も導入されており、所属機関の職員や依頼を受けた行政書士がオンラインで申請を行うことが可能です。ただし、申請者本人が直接このシステムを利用することはできません。

必要書類

在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 在留資格変更許可申請書
    法務省のウェブサイトからダウンロード可能です。
  2. 写真
    3か月以内に撮影されたもので、サイズは縦4cm×横3cmです。
  3. 日本での活動内容に応じた資料
    変更先の在留資格により必要な書類が異なります。例えば、留学生が就労系在留資格に変更する場合、企業の登記事項証明書や雇用契約書のコピーなどが必要です。
  4. パスポートまたは在留資格証明書
  5. 在留カード
    外国人登録証明書を含みます。
  6. 身分証明書等
    行政書士などの取次者が申請する場合に必要です。
  7. 申請理由書
    提出は任意ですが、審査の参考資料として重要です。特に留学から就労系在留資格への変更の場合、就職に至る経緯や職務内容と選考分野の関連性について説明することが求められます。

費用

在留資格変更許可申請には手数料として収入印紙4,000円が必要です。手数料は申請結果が出た際に支払うことになります。

申請と審査の流れ

在留資格変更許可申請の手続きは、以下の流れで進行します。

  1. 書類提出
    申請者または代理人が最寄りの出入国管理局・支局・出張所に必要書類一式を提出します。
  2. 審査
    提出書類をもとに、出入国在留管理庁で審査が行われます。
  3. 審査結果の通知
    審査結果は郵送で通知されます。
  4. 新しい在留カードの受け取り
    審査が通った場合、申請者は最寄りの出入国管理局・支局・出張所で新しい在留カードを受け取り、手数料4,000円を支払います。

審査期間と提出期限

審査には通常1〜2か月程度かかりますが、出入国在留管理庁の混雑状況により変動する場合があります。提出期限は特に決められていませんが、新しい活動を開始する前に在留資格を変更する必要があるため、早めの申請が推奨されます。例えば、留学生が4月から就職する場合、1月中には申請を行っておくと安心です。

在留資格変更許可申請の審査ポイント

審査では、以下のポイントが重視されます。

  1. 希望する在留資格の基準を満たしているか
    就労系在留資格を希望する場合、申請する在留資格と就職先の業務内容が一致していることが求められます。また、本人がその業務にふさわしい技術や知見を持っているかどうかも重要な審査ポイントです。
  2. 素行が不良でないこと
    犯罪歴や違反行為がないこと、納税義務や居住地の届出義務を履行していることが求められます。
  3. 独立して生計を維持できること
    雇用主から提示される報酬が適切であり、安定した職場であること、また本人が社会保険に加入していることが確認されます。

不許可になった場合

万が一申請が不許可となった場合でも、在留期間が残っていれば再申請が可能です。ただし、再申請の際も審査は厳密に行われるため、不許可の理由をしっかりと確認し、その問題点をクリアする必要があります。

留学生の卒業時における注意点

留学生が卒業後に就職する際には、就労系在留資格への変更が必要です。就職先が決まらないまま卒業した場合、就労系在留資格への変更は認められず、留学の在留資格のまま日本に滞在することもできません。このような場合には、「特定活動」の在留資格に変更することで、6か月間(一度の延長が認められ、最長で1年間)就職活動を続けることが可能です。

しかし、就職が決まった際には、特定活動から就労系在留資格へ再度変更する手続きが必要となります。これらの手続きがスムーズに行われないと、日本での就労機会を失うリスクがあるため、卒業前からしっかりと準備を進めることが求められます。

在留資格変更許可申請は、日本で新しい活動を始めるための重要な手続きです。資格要件を満たし、必要な書類を揃えてスムーズに申請を行うことで、日本での活動を問題なく進めることができます。ぜひ、当職までお気軽にご相談ください。

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