建設業法第4条においては、建設業の許可を得るために、申請者が一定の財産的基礎または金銭的信用を有していることが求められています。具体的には、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。
- 直前の決算において自己資本額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可を受け5年間継続して営業した実績があり、かつ現在も許可があること
これらの条件は、いずれか1つを満たす必要があり、例えば「自己資本額」と「資金調達能力」の条件を併用することはできません。本記事では、これらの条件について詳しく解説し、具体的な証明方法や注意点についてお話しします。
自己資本額とは資本金なのか?
自己資本額に関する理解を深めるためには、まず「自己資本額」と「資本金」の違いを理解することが重要です。自己資本額とは、会社の財務状態を示す指標であり、直近の貸借対照表における「純資産総額」を指します。純資産総額は、資本金に加え、過去の利益やその他の資本剰余金などを含むため、必ずしも資本金そのものとは一致しません。
自己資本額の算定方法
自己資本額は以下のように計算されます:
- 純資産総額 = 資本金 + 利益剰余金 + 資本剰余金 – 負債
つまり、会社の財務状況を反映した指標であり、資本金だけではなく、企業が蓄積した利益やその他の資本も考慮に入れられます。直前の決算においてこの純資産総額が500万円以上であれば、自己資本額の要件を満たすことになります。
資金調達能力の証明方法
資金調達能力とは、必要な資金を確保する能力があることを示すものであり、以下の方法で証明することができます。
- 金融機関の残高証明書
- 銀行口座に500万円以上の現金があることを証明する書類です。金融機関に依頼することで、口座の残高を証明することができます。
- 融資可能証明書
- 銀行などの金融機関からの融資可能性を示す証明書で、申請者が将来的に500万円以上の資金を調達できる見込みがあることを証明します。
- 固定資産税納税証明書
- 不動産などの資産があることを証明するもので、所有している不動産の評価額などから資金調達能力を示すことができます。
- 不動産登記簿謄本
- 不動産の所有状況を示すもので、不動産の価値を基に資金調達能力を証明します。
これらの証明書は、資金調達能力を示すための重要な書類であり、最も便利なのは金融機関の残高証明書です。現金で常に500万円持っている必要はなく、証明発行時に口座に500万円があれば、証明として有効です。
許可更新時における財産的要件
建設業の許可を受けた後、許可更新時においても財産的要件が求められるのではないかと疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、許可更新時には500万円の財産的基礎を再度証明する必要はありません。あくまで、5年間継続して営業している実績があることが重要です。
結論
建設業法第4条に基づく財産的基礎の要件は、建設業の許可を得るための重要な条件であり、自己資本額、資金調達能力、または5年間の営業実績のいずれかを満たす必要があります。それぞれの条件に対する理解を深め、適切な証明書類を用意することが、スムーズな許可取得の鍵となります。
財産的基礎の要件についてご不明点やご相談がある場合は、ぜひ幣事務所までお気軽にご相談ください。適切なアドバイスとサポートを提供し、建設業許可取得のお手伝いをいたします。