建設業許可の業種追加は、経営の幅を広げるために重要なステップですが、財産的要件については十分な理解と準備が必要です。特に、新規許可取得後に業種追加を希望する場合、財産的要件に関する適切な確認と対応が求められます。以下に、建設業許可における業種追加の財産的要件と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
財産的要件の基本
建設業許可の業種追加にあたっては、以下の財産的要件を満たす必要があります。
- 直前の決算において自己資本額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 直前5年間に許可を受け、継続して営業した実績があり、かつ現在も許可があること
これらの要件は、新たに業種を追加する際の財産的基礎を確認するためのものです。特に、新規許可取得後にまだ更新を迎えていない場合、要件3には該当しませんので、要件1または2の確認が重要になります。
財産的要件の確認と証明
1. 直前の決算における自己資本額
まず、財産的要件を確認するためには、直近の決算変更届に添付されている財務諸表を確認します。特に重要なのは「貸借対照表」に記載されている「純資産合計」の額です。これが500万円以上であることを確認します。自己資本額がこの基準を満たしている場合、要件①をクリアしたことになります。
純資産合計の確認方法
貸借対照表には、会社の資産と負債が記載されており、純資産は資産から負債を差し引いた額です。この額が500万円以上であることを確認することで、財産的基礎が整っているかどうかを判断できます。
2. 資金調達能力の証明
もし、決算変更届の財務諸表で純資産合計が500万円に達していない場合、事業用の金融機関口座における預金残高証明書を用意します。これにより、500万円以上の資金調達能力があることを証明する必要があります。
預金残高証明書の取得方法
預金残高証明書は、金融機関で発行してもらうもので、口座の残高が500万円以上であることが記載されています。この証明書は、資金調達能力を証明するために不可欠な書類です。
3. 決算変更届の提出
全ての決算変更届が提出されていない場合、業種追加申請は受理されません。したがって、決算変更届がすべて提出されているか確認することが非常に重要です。決算変更届が未提出の場合は、先にそれを整える必要があります。
業種追加の流れと注意点
業種追加申請の手続き
- 現在の許可業種の確認:既に取得している建設業許可の業種と、その許可が有効であるかを確認します。
- 新たに追加したい業種の決定:追加する業種について、専任技術者要件がクリアできるかを確認します。
- 必要書類の準備:財産的要件に関する書類(決算変更届、預金残高証明書など)を整えます。
- 業種追加申請の提出:必要書類を添えて、業種追加申請を提出します。
注意すべきポイント
- 財務諸表の整備:財務諸表が正確であることを確認し、必要に応じて修正を行います。
- 証明書の有効性:預金残高証明書やその他の証明書が最新で有効であることを確認します。
- 決算変更届の提出:決算変更届がすべて提出されていることを再確認します。未提出の場合は、先にその手続きを完了させる必要があります。
終わりに
建設業許可の業種追加は、事業の拡張において重要なステップですが、財産的要件に関しては細かな確認と準備が求められます。新規許可取得後に業種追加を行う場合でも、財務的な基盤が整っていることが必須です。これらの要件を正しく理解し、必要な書類を整えることで、スムーズに業種追加を進めることができます。
また、業種追加の手続きや財産的要件について不安がある場合は、専門家である行政書士や税理士に相談することをお勧めします。彼らのアドバイスを受けることで、より確実に要件を満たし、業種追加の成功に繋げることができるでしょう。