
ドローンの商用利用や特定の条件下での飛行には、国土交通省の許可・承認が必要です。許可申請の際に必ず提出しなければならないのが「飛行マニュアル」です。このマニュアルは、ドローンの安全運用を保証するために作成するものであり、申請者が遵守すべきルールや点検方法を明確に記載する重要な書類です。
本記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市でドローンを飛行させる方々に向けて、「飛行マニュアル」の役割、作成方法、国土交通省の「航空局標準マニュアル」との違いについて詳しく解説します。
1. 飛行マニュアルとは?
(1) 飛行マニュアルの目的
飛行マニュアルとは、ドローンを飛行させる際の安全対策をまとめた文書で、飛行許可申請の際に提出が義務付けられています。マニュアルには、以下のような情報を記載します。
- 飛行前点検・飛行後点検の方法
- 飛行時に遵守すべきルール
- 緊急時の対応方法
- 事故を未然に防ぐための安全対策
ドローンの事故やトラブルを防ぎ、安全な運用を行うためには、この飛行マニュアルに従うことが必須です。許可を取得した後も、このマニュアルに沿って運用することが求められます。
(2) 飛行マニュアルが必要となるケース
以下の条件に該当する場合、国土交通省への許可・承認申請が必要になり、飛行マニュアルの提出が求められます。
- 人口集中地区(DID地区)での飛行
- 150m以上の高度での飛行
- 空港周辺での飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行(FPVドローンを含む)
- 人や建物の近くでの飛行
これらの飛行条件に該当する場合、安全対策の一環として飛行マニュアルが必須になります。
2. 「航空局標準マニュアル」とは?
(1) 航空局標準マニュアルの概要
飛行マニュアルは本来、申請者が独自に作成する必要があります。しかし、ドローンの安全管理に関する知識がないと作成が難しいため、国土交通省の航空局が標準的なマニュアルを作成しています。これが「航空局標準マニュアル」です。
(2) 航空局標準マニュアルを利用するメリット
この標準マニュアルを使用することで、以下のメリットがあります。
- 作成の手間が省ける:一からマニュアルを作る必要がない
- 申請の審査がスムーズ:国の基準を満たしているため、審査の際に問題が起こりにくい
- 初心者でも安心:最低限の安全基準が含まれているため、初心者でも安全に運用できる
特に、初めてドローンを飛ばす場合や、一般的な飛行用途であれば、標準マニュアルを利用するのが最も簡単な方法です。
3. 独自の飛行マニュアルを作成する必要がある場合
航空局標準マニュアルは非常に便利ですが、すべての飛行条件をカバーしているわけではありません。標準マニュアルでは対応できない特殊な飛行を行う場合、独自の飛行マニュアルを作成しなければなりません。
(1) 独自マニュアルが必要になるケース
以下のようなケースでは、標準マニュアルをそのまま使用できず、独自のマニュアルを作成する必要があります。
- 産業用ドローンを使用する場合(農業、測量、点検など)
- 物資の輸送を目的とした飛行
- 複数台のドローンを同時に飛行させる場合
- 特殊なカスタマイズを施した機体を使用する場合
(2) 独自マニュアル作成時のポイント
独自の飛行マニュアルを作成する場合、以下の点に注意しながら作成するとスムーズです。
・飛行する環境を明確にする(都市部・山間部・海上など)
・リスクアセスメントを行い、安全対策を強化する
・飛行時のオペレーション手順を詳細に記載する
・異常事態発生時の対応フローを明確にする
独自の飛行マニュアルを作成する際には、専門知識が求められるため、行政書士やドローン運用の専門家に相談するのも一つの方法です。
4. 飛行マニュアルに関する注意点
(1) 飛行許可取得後も遵守が必要
飛行許可を取得した後は、許可申請時に提出した飛行マニュアルに従ってドローンを運用する必要があります。マニュアルに記載された安全対策を怠った場合、許可の取り消しや罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。
(2) 飛行マニュアルは常に最新の状態にする
技術の進歩や法改正により、安全対策や飛行ルールが変わることがあります。古いマニュアルのまま運用すると、新しい法規制に違反するリスクがあるため、定期的に見直しを行いましょう。
(3) 飛行マニュアルのコピーを携帯する
ドローンを飛行させる際には、飛行マニュアルのコピーを持ち歩くことをおすすめします。万が一、監督官庁や警察から運用方法を確認された場合、マニュアルを提示できることでスムーズに対応できるためです。
まとめ
ドローンを安全に飛行させるためには、飛行許可申請時に「飛行マニュアル」を提出することが義務付けられています。
・航空局標準マニュアルを使用すれば、申請手続きがスムーズに進む
・特殊な飛行を行う場合は、独自の飛行マニュアルを作成する必要がある
・飛行許可取得後も、飛行マニュアルを遵守しなければならない
・最新のルールに基づいたマニュアルの更新が重要
東京都江東区や沖縄県那覇市でドローンの飛行許可申請を検討されている方は、飛行マニュアルの作成や許可申請手続きを行政書士に相談することをおすすめします。安全かつスムーズにドローンを運用するために、適切なマニュアルを準備しましょう。