江東区長のネット広告について、元江東区議の行政書士による公職選挙法解説

2023年10月26日江東区長である木村弥生氏が辞職するという報道がありました。

元政治家として、また元江東区議として、そして日常様々な法律に触れる立場にある行政書士として今回の問題を考察します。

問題の動画は4月16日告示、23日投票の江東区長選挙期間に動画投稿サイトYouTubeへ有料広告として掲載されたもので、木村氏自身が出演し自らへの投票をテロップ付きで呼びかけたものでした。

ネット選挙が全面解禁されたのでは?

選挙運動におけるネットの活用は2013年公職選挙法改正により解禁となり、政党や候補者が自身のWebサイトやSNSを通じた政策の訴えや投票への呼びかけが行われるようになりました。

しかし公職選挙法では選挙期間中における候補者自身の名前で投票を呼びかける有料のネット広告は禁止されており、今回のケースはこれに該当すると思われます。

ただし政党や政治団体は例外とされ、それら団体の選挙運動用サイトへ直接リンクするものに限り有料のネット広告は許されています。

この規定に違反した者は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められており、罰金刑以上が確定すると違反者は公民権が停止され失職します。

政治を志して懸命に政治活動へ勤しみ、選挙本番を迎えて見事に勝利を勝ち得ても、法律違反を犯せば全てが水泡に帰し応援して頂いた多くの有権者の期待を裏切る結果となります。20年以上に渡り政治の場にいたひとりとして、改めて公職選挙法の遵守と理解の重要性を感じます。

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